2015年8月25日火曜日

神へ捧げる踊りを舞うアプサラ 〜アンコールワットとバイヨン〜

初めてアプサラの踊りを見たのは初めてカンボジアを訪れたときですが、それ以来何度となくアプサラの踊りを様々な場所で見てきました。今のところのベストは以前にも書いたプラエ・パカアのアプサラですが、最初からアプサラの踊りに惚れこんだわけではありませんでした。カンボジアが好きだから、アンコールワットが好きだから、アプサラも好きだよね、というくらいの感覚でしかなかった気がします。それが何度も見ている間に徐々に変わっていったのです。

最初のきっかけは今思えば、アプサラの踊りを練習する子どもたちの姿を見たときかもしれません。あの優雅でしなやかな動きが実はどれほどの体力を要するのかを目の当たりにし、あの不自然な手や指の曲がり具合を小さなか頃からストレッチを繰り返してできるようにしている姿などを見たとき、どこか感動している自分がいました。高校生くらいの女の子たちがアプサラ動きを練習しているときでした。とてもゆっくり動く彼女たちの首筋に流れる汗は今でも鮮明に覚えています。

手の平の反りが普通ではないのがわかるでしょうか

はじめは不自然にしか見えなかったあの反り返った手の動きも、今ではその反り具合でアプサラの実力を測っている自分がいます。そしてあの反り返った手こそ、アンコールワットやバイヨンのレリーフに見られるアプサラの手なのです。それを今更ながら意識してしまい、その手を見たいと強く思ってしまったのです。

この手の反りがたまらない!?

アンコールワットのアプサラというと、西塔門の回廊や第二回廊、第三回廊の壁一面に描かれた立ち姿のアプサラの方が有名かもしれません。以前は彼女たちのことをデヴァターとも言っていたのですが、最近はどうなのでしょうか。あの独特の動きをしているアプサラは、第一回廊のレリーフの中でも特に有名な入会攪拌のレリーフにたくさん描かれています。が、今回はアンコールワットの中まで歩いていく元気も時間もなかったので、西塔門の内側にも施されたアプサラに焦点を当ててきました。こちらもあの反り返った手をして踊っているのです。

アンコールワットのアプサラ
この手の反りがまさにアプサラ
バイヨンでは、第一回廊の四隅と東西南北の入口に立つ柱にたくさん描かれています。時代が異なるからなのか、アンコールワットとバイヨンではアプサラの表情はどことなく違います。また、こちらもすべて表情が異なるので、ついつい自分好みの顔のアプサラの写真を撮りたいと、可能な限り、すべての柱の周りをぐるぐる見て回ってしまいました。表情がいいなと思っても、手の部分が欠けてしまっていたり、光の具合でうまく撮れなかったりと、なかなかこれといったアプサラに出会うことが難しかったです。工事の関係で入ることのできない場所もありました。そのような中でも、なかなかいい感じのアプサラの写真を撮ってきましたが。

バイヨンのアプサラ
小さな彫刻ですが手の平が反っているのがわかります
現在、実際に踊っているアプサラの舞は何度も見ていますが、当時のアプサラの舞がどのようなものだったのか、個人的にはとても興味があります。今となっては永遠にわかることはないのでしょう。さらに、クメール・ルージュの時代、伝統芸能の先生も9割以上が殺され、行方がわからなくなりました。そのような中、生き残った人たちが、伝統芸能を復活させようと努力し、ここまで蘇らせたのです。レリーフ残されたアプサラの絵から、動きを再現させたというのですから驚きです。

それぞれの伝統芸能をこれからも大事にして欲しい。そう強く思いながらのアンコールワットとバイヨンの再訪でした。

アプサラの間にお気に入りのガルーダが

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