2015年8月15日土曜日

ワールドビジョン 〜ポニャールー・カンボジア〜

やってきました、カンボジア。年末年始以来ですから約8ヶ月振りの再訪です。最近は奈良にどっぷりはまっているので、カンボジアの魅力というかカンボジアのへの想いが減っているような気がして、まずいかなあ、と思うときがあります。が、その辺りはあまり深く考えないようにしようと思いました。その程度の想いであればいつか消滅してしまうでしょうし、それを無理に食い止めるわけにもいかないでしょうから。ですので、今回もあまり深く考え込まないようにしつつ、この時間を楽しもうと思いました。

さて、昨日プノンペンに入ったのですが、夜行便ということもあり、少々頭が朦朧としていました。さっそく訪れたお気に入りのBodia Spaでは、マッサージ終了も気づかないほど爆睡してしまい、担当のお姉さんに何度か起こされたようです。このマッサージを楽しみにしていたのですが、ほとんど記憶にありません。もちろん、このあとも何度か通う予定にしています。

ホテルも毎回同じ場所ですが、スタッフは新しい人ばかりで、顔見知りの人が一人もいませんでした。これはちょっと悲しいです。また、スタッフのお姉さんに「ロンリー」という言葉を使われてちょっとカチンときました。アローン(alone)かもしれませんが、ロンリー(lonely)ではありません。意味の違いがわからず使っているのだとは思いましたが、来て早々ムッとさせられてしまいました。

気を取り直して今日です。今日はワールドビジョンを通してサポートをさせてもらっているチャイルドの2人に会いに行く日です。プノンペンに来る目的はこれです。上記のお姉さんに、どこへ行くの?とかキリングフィールドは?と聞かれましたが、興味ないから、と軽くあしらってしまいました。

7時半にホテルを出発し、観光地でもあるウドンに近い地域、ポニャールーへ向かいます。車で約1時間程です。何度か訪れているので、道も辺りの景色も何となく見覚えがあります。新しい建物が増えているところもありますが、市場の喧騒や交通マナーの悪さは相変わらずです。

今回、2人のチャイルドに会う予定だったのですが、男の子のVくんの体調が悪くなってしまったとのことで、女の子のKちゃんにしか会えないことが途中でわかりました。残念ですが体調不良ではどうしようもありません。またの機会を待つことにします。

ワールドビジョンの事務所に到着すると、見覚えのある、しかしずっと大人っぽくなったKちゃんの姿がありました。もうKちゃんではなくKさんです。小さい頃から可愛らしい女の子でしたが、大人になっていよいよ美人になってきました。今年で15歳だというKちゃん。サポートをし始めて7年ほどになるので、初めて会ったときはまだ7、8歳だったはずです。背も高くなりましたし、私のクメール語もずいぶんわかってくれるようになりました。最初の頃は恥ずかしがってほとんど話しませんでしたし、私の下手なクメール語はなかなか伝わらず、スタッフの橋渡しがなければまったく会話は成立しませんでした。ところが今回は私の相変わらず下手なクメール語もほとんど理解してくれましたし、自ら質問までしてくれるようになっていました。会話がなくても目が合うと、ニコッと微笑みます。本当に可愛いお姉さんです。

今回は両親とも忙しいらしく、いとこの10歳だという女の子、祖父母と一緒に来ていました。お母さんは昨年の時点で再婚しているので、もしかしたらこの女の子はKちゃんの義理の妹なのかもしれません。また、お母さんには三ヶ月になる女の赤ちゃんも生まれているようでした。

普段はチャイルドたちとはワールドビジョンの事務所でしか会うことはないのですが、今回初めて一緒にサポートしている地域のプロジェクトの一端を一緒に見学しに行きました。今回訪れたのは、プレスクールと伝統楽器の練習をしているところです。

プレスクールは小学校に上がる前の小さな子供たちのための場所です。スクールといっても屋根のあるスペースがあるのみですが、そこで文字や絵をかきながら、小学校へスムーズに進めるようにサポートしているのだそうです。今回も15人ほどの小さな子供たちと女性の先生、それから子供たちの面倒を見るお兄さんお姉さん、さらに村の長老たち数名が来てくれていました。最初に子供たちが歓迎の歌を歌ってくれました。お世辞にも上手とは言えませんが、子供たちが一生懸命歌う姿というのは純粋に可愛らしいものです。歌のあとはお絵かきの時間になったようで、お兄さんやお姉さんと一緒に色々な絵に色を塗ったりしていました。その間に、長老の一人から、このプロジェクトについての説明を受けました。

歓迎の歌を披露してくれた子どもたち
もちろん、スタッフの通訳を通してです。話の端々に出てくるいくつかの単語の意味は知っていても、文章としての意味はまったくわかりません。ただ、感触的には相当端折った通訳にはなっていたようです。スタッフの英語も流暢なわけではありませんから仕方がありません。それでも、サポートのおかげでこのようなプロジェクトをスタートできたこと、最初はなかなか子供たちが集まらなかったこと、親の理解を得るのがなかなか難しかったことなどがわかりました。今は参加する子ども一人に対して一ヶ月に1000リエル、約30円払ってもらい、先生の給料に当てているのだそうです。もちろん、とても少ない給料であることはすぐにわかります。

次に向かったのは別の集落にある、伝統楽器の練習をする場所です。ここにもたくさんの子どもたちがいて、いろいろな絵を描いていました。先ほどの場所にいた子供たちがより少し年齢は上のようです。花の絵を描いている子、木の絵を描いている子など様々です。私が写真を撮っていると、何人かの子どもたちが一人一人立って自己紹介をし、絵の説明をしてれて、さらにはその絵をプレゼントまでしてくれました。子どもによっては恥ずかしがってしまう子もいましたが、それでも5人の子どもたちが絵をプレゼントしてくれました。



子どもたちが書いてくれた絵

その横には伝統楽器がいくつか並んでいて、年齢的には中学生くらいの子供たちが演奏をしてくれました。アプサラの踊りなどのときに演奏される楽器です。まだ練習を始めて2、3ヶ月ということでしたが、なかなか立派に演奏をしてくれました。今回初めて木琴にさわらせてもらいました。彼らは楽譜を持っておらず、すべて耳だけで音を拾っていきます。ですので、私も同じような状況になるのですが、これが意外と難しいのです。木琴には印もついていませんから、見本を見せてもらってからバチを渡されると、あれ?どこからだっけ?となってしまいます。何度も間違えた末、やっと少しだけ示されたように音を出すことができました。

最後に何かクメール語で、と即されて慌てましたが、拙いクメール語で感謝の気持ちは伝えることができたかな、とは思います。細かいことは英語で伝えてスタッフに通訳してもらいました。帰りに3kgほどある椰子砂糖まで頂いてしまいました。とっても嬉しいのですが、どうやって持って帰ろうか思案中です。

一度ワールドビジョンの事務所に戻り、昼食を取りに行くことになりました。最初は気付かなかったのですが、昨年と同じ場所でした。ドライバーさんに、昨年と同じ場所だよ、と言われて思い出しました。ということは、ドライバーさんも昨年と同じということです。昼食内容は、一般的なカンボジア料理で、大きな魚を揚げたもの、カボチャ・野菜・豚肉スープ、野菜炒め、そしてご飯です。付け合わせの漬物が少し私には辛かった以外は、すべて美味しく頂きました。7人で食べたのですが、これに何人かが缶ジュースを飲んで全部で27ドルでした。本当はVくんの家族も参加するはずだったのですが、急遽キャンセルになってしまったので、昼食をキャンセルすることができなかったようです。レシートをみると、1人10000リエル。日本円にして300円程でしょうか。これが高いのか一般的な値段なのか少し気にはなりますが、ちょっと質問しづらかったので、わからずじまいになってしまいました。

一般的なカンボジア料理
とってもお姉さんになったKちゃん(左)

Kちゃんに、料理はするの?と聞いてみると、はい、という可愛らしい返事が返ってきました。カンボジア料理には何種類ものスープ料理があるのですが、それらすべてを作れるそうです。きっと家で毎日手伝いをしているのでしょう。またこの時期は田植えの時期でもあるようで、毎日田植えをしているとのことでした。お姉さんが田植えをしたら1時間で真っ黒になります、と笑いながら言われましたが、真っ黒になる前に体力が持たない気がします。今は夏休みの時期なので、毎日田植えをしているとのことでした。その夏休みですが、いつまでなのか聞いてみると、驚く答えが返ってきました。なんと11月までだというのです。一瞬聞き間違いかと思いましたが、スタッフが確認しても11月だといいます。詳しい理由はわからなかったのですが、どうやら教師の都合のようでした。やはりカンボジアの教育事情はまだまだ厳しいものがあるようです。

学校へはどうやって行くのか聞いてみると、歩いて行くときや自転車に乗って行く時があるとのことでした。どの位時間がかかるのか聞いてみると、友達と一緒の時は一人で行く時よりも時間がかかるの、と笑って答えました。楽しいおしゃべりをしながらの登校風景が目に浮かぶようです。将来は先生になりたいというKちゃん。彼女の夢が叶うことを心から願います。

あっという間にお別れの時間が来てしまいました。ほんの2、3時間ほどの時間ですが、この時間のためにプノンペンにくる価値は十分あります。チャイルドに初めて会ったとき、スタッフを介してのやりとりがもどかしくて、なんとか直接コミュニケーションをとりたい、と思ったのがクメール語を学び始めたきっかけでした。そのあとも、私のクメール語がまったく伝わらず、また彼らが話すクメール語がまったく聞き取れない、という状況が続きました。それが少しずつではありますが、わかるようになってきました。Kちゃんも成長し、私のクメール語を理解できるようになってくれましたし、私に質問までしてくれるようになりました。本当に続けてきた甲斐があったなあ、としみじみ思ってしまいました。

祖父母と一緒に
帰りは祖父のバイクに乗っていきます。前から祖父、従妹、祖母、そしてKちゃんの順番です。次に会えるのはいつでしょうか。来年の夏に会えればと思います。サポートできる子どもの年齢は18歳までとのことなので、Kちゃんをサポートできるのも長くてあと3年しかありません。大事にしたい3年です。

彼らとさよならした後、私も車に乗り込んでワールドビジョンの事務所をあとにしました。


子どもたち手作りの鳥

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