2015年6月25日木曜日

臨地講座その2 ~西本願寺~

西本願寺は初めてです。大きく有名すぎてあまり興味がわかなかったので、なかなか足が向きませんでした。ですので、今回はいい機会でした。そうでもなければ行くことはなかったかもしれません。13時に西本願寺に再集合し、今回は西本願寺の僧侶による説明の下、阿弥陀堂から順番に拝観しました。

西本願寺の阿弥陀堂

阿弥陀堂の中は珍しく写真撮影が可能ですが、隣の御影堂は不可です。仏像が安置されている阿弥陀堂はOKなのに、親鸞聖人の像が祀られている御影堂はダメ、と言うのも不思議な感じがします。ちなみに普通「御影堂」は「みえいどう」と読むのですが、西本願寺では「ごえいどう」と読むそうです。個人的なものですが、仏像には興味があるのですが上人などの人をかたどった像は苦手です。ですので、阿弥陀堂の阿弥陀如来像には興味がわくのですが、御影堂の上人像にはまったく興味がわきません。

阿弥陀堂の外陣
阿弥陀堂の外陣
印象的だったのは、阿弥陀堂も御影堂も内側の装飾がとても色鮮やかで豪華だったことです。もちろん改修されているからこその色合いでしょうけれど、彫刻にしても柱に施された装飾にしてもとても豪華です。東寺の五重塔の中を拝観する機会があったのですが、やはり色彩は鮮やかでした。古刹と呼ばれる寺院も建築当初はとても鮮やかだったのかもしれません。そんなことを考えると、時代を経てきた古刹と呼ばれる質素な感じのお寺が好きな私はもしかしたら間違っているのかも、と思ってしまうときもあります。仏像も金箔が貼られ金色に輝いていたことでしょう。でも私はキラキラの仏像は苦手なのです。別に気にしなくても良いことなのかもしれませんが、少し考えてしまいます。

西本願寺の御影堂

阿弥陀堂、御影堂と周り、虎の間や鸛の間と呼ばれる部屋などをまわってきました。能舞台が二か所もあったりして、なかなか興味深いことは確かです。面白かったのは畳の敷き方です。昔の武士たちは袴を履き、すり足で動いていたそうです。そのすり足と同じ方向に畳の目が配置されていて、滑りやすいようになっているのです。よく考えられているなあ、と感心してしまいました。また、遠近法も利用されていて、上座に座る者が大きく見えるように工夫までされていたそうです。やはり権力者というのは見かけもとても大事にするのでしょう。

今回のメインは飛雲閣の見学のようでした。個人的にはどれほどのものなのかまったく知らなかったので、担当者から「飛雲閣の見学を楽しみにこの講座に参加された人も多いのではないでしょうか。」と言われて、少し驚いたほどです。飛雲閣なるものの存在もこのツアーに参加するまで知りませんでしたので、その場所が普段は非公開の場所であることももちろん知りませんでした。

非公開ですからもちろん写真撮影はすべて禁止です。小さな庭の真ん中に池があり、その池の真ん中にこの飛雲閣が建っています。見た瞬間に素人ながら面白い建物だな、と思いました。すべてが非対称なのです。三階建の建物ですが、正面から見て一階の左半分の上に二階部分があり、その二階部分のさらに左半分の上に三階部分があります。その三階部分は摘星楼(てきせいろう)と呼ばれていて、星に手が届くような景観が楽しめたのだろうといいます。なんともすてきなネーミングです。星を摘むことのできる場所。そこで星を眺めてみたいものです。

普段はこの飛雲閣の中に入ることは許されないようなのですが、今回はこれまた特別に中に入ることができました。ただ、あまり建物の内装についての興味がないですし、知識もほとんどない状態なので、襖に描かれた絵がすばらしいとか、茶室がどうこうとか、その価値をほとんど見いだせないままの見学になってしまいました。ちょっともったいないな、と我ながら思いましたが仕方がありません。飛雲閣の佇まいはすてきだとは思いましたが、なにせ写真撮影が一切不可なので、うまくその景観を説明することができません。機会があるのであれば、一度は見る価値はあるのではないかとは思います。


西本願寺の唐門

最後に国宝に指定されている西本願寺の唐門の見学です。これまた豪華絢爛な門です。少し日光東照宮のことを思い出してしまいました。唐門は黒や青を使っているので、東照宮よりは落ち着いた感じがしますが、やはり派手です。たまに見るのは良いのですが、個人的にはやはり落ち着いた感じの色あせた建物の方が好きなようです。

ここで僧侶によるツアーは終了です。この後は、最後の目的地である京都タワーへ向かいます。大気の状態が不安定のようで、午前中とは異なり真っ黒な雲が見え始めていましたが、特に降られることなく京都タワーに到着しました。ここももちろん初めてです。こここそ、この機会でもなければ絶対に登ることはなかったでしょう。いくら高いところが好きとはいえ、わざわざお金を払ってまで上りたいと思えるような場所ではないからです。それでも、行って良かったとは思います。京都の町は、東寺の五重塔より高い建物は建てない、という暗黙のルールがあったそうで、131mというそれほど高くはない京都タワーでも、とても遠くまで見晴らすことができます。昨日の大雨で空気もきれいだったようで、大阪のアベノハルカスまで見ることができました。

今回の臨地講座「塔と楼閣」は第1回目ということで、人気があれば二回・三回と続けたいと係の方が話していました。ぜひ参加してみたいと思いますが、あとは日程と場所でしょう。塔と楼閣ということですが、他の場所だとどのようなところが挙げられるのかまったく見当がつきません。楽しみに待ちたいと思います。

下から見上げる京都タワー
京都タワーより 遠くに清水寺の三重塔が見える
京都タワー

2015年6月23日火曜日

近畿文化会 臨地講座その1 ~東寺~

今年、近畿文化会なるものの会員になったのですが、東京で開かれる月に一回の講習会にはまだ一度も出席したことがありません。土曜日の午後なのでいつも仕事で忙殺されているからです。

今回、臨地講座が京都で開かれることになり、弾丸京都日帰りで参加してきました。近畿文化会では様々な臨地講座が開かれているのですが、今回の講座名が「塔と楼閣」であり、さらには訪問場所が東寺と西本願寺ということで、これはぜひとも参加したいと思っていたのです。

天気予報は雨のち曇。三時間ごとの予報を見てみると午前も午後も雨がぱらつくようなものでした。ところが。京都に到着すると雨は上がり、青空まで見えるではありませんか。そして、あれよあれよというまに真っ青な空が頭上に広がってしまいました。雨は面倒だなとは思っていましたが、まさか青空が広がるとは思ってもいませんでしたので驚きました。日焼け止めも塗っていません。仕方がないので雨用に持参した折りたたみ傘を日傘代わりに使いました。

今回の参加者数は56名。定員は40名のはずだったのですが、人気があって増やしたのでしょう。もちろん全員が年配者。少々場違いな気がしましたが、このような講座はやはり年配者が主流なのでしょう。まずは係員の後についてぞろぞろと東寺へ向かいます。

東寺では月に一度の弘法市が開かれていて、敷地内は人でごった返していてすごかったです。いつもは広めの駐車場が出店で埋め尽くされ、その間をたくさんの人々が行き交っています。これは大変だ、と思ったのですが、ほとんどは弘法市が目当てで東寺の有料になる敷地内にはほとんど入らず、五重塔や金堂、講堂はごった返すというほどではありませんでした。それでもいつもよりは人が多かった気がします。

東寺と言えば五重塔
蓮にはまだ少し早い
まずは五重塔へ向かいます。木陰に入り太陽の強烈な日差しを避けつつ、京都繊維大学の矢ヶ崎先生の説明を聞きます。さすがにこの大人数でしたので、マイクを利用しての説明です。
次は講堂と金堂の間の日陰で、建築様式の違いについて説明してくれました。一人で見ているときには気付かないことばかりです。やはり専門家と一緒に見て回るのは勉強になりますし、新しい発見があるので非常に面白いです。詳しいことはまた次のブログに載せたいと思います。

矢ケ崎先生の説明を聞く

ここで一旦解散になりました。それぞれ適当に見学をし、昼食をとってから次の場所である西本願寺で再集合です。二時間近い自由時間となったので、金堂や講堂を見学した後、食堂や弘法市を見学してみました。

食堂に安置されている火事で被災した大きな四天王像は個人的にとても気に入っていますので、東寺に行くときは欠かさず見るようにしています。痛々しい姿ですが、何度見ても木材の力強さを感じさせてくれる像だからです。炭化してもなおその四天王の威圧感や力強さは十分に伝わってきます。

食堂と夏の空

真っ青な空

弘法市はお祭りの縁日のように、様々な出店が並んでいます。シーサーを売っている屋台やクロマーのようなものを扱っている屋台まであってびっくりです。もちろん、焼きそば、たこ焼き、かき氷などの定番屋台も複数ありました。京都らしい京都の漬け物やわらび餅なども多く売られていました。どうしようか迷ったのですが、結局何も買わずに西本願寺近くまで行くバスに乗ってしまいました。

弘法市




2015年6月18日木曜日

姫紫陽花ブルー ~明月院~

明月院へ続く道は、やはり多くの人々が行き交っていました。そして、警備員が出て交通が妨げられないようにしていました。時間は午後3時過ぎでしたので、明月院へ行く前に、少しカフェで休憩をしました。昨年のこの時期に初めて訪れたSissy'sというこぢんまりとした素敵なカフェです。

明月院を通り過ぎて少し歩いた先の右手にある小さなカフェです。ちょうど一年前に訪れたときに食べたルバーブパイをもう一度食べたかったのです。ルバーブは日本では馴染みのない植物ですが、アメリカではルバーブパイとして割合とポピュラーなパイの一つだと思います。そのルバーブパイを食べたくて北鎌倉まで来たと言っても過言ではありません。

一年前の訪問にも関わらず覚えていてくれたのはうれしい驚きでした。もちろん注文したのはルバーブパイ。今回はゆっくりしている間に3組ほど訪れていたので、ずいぶんと知られるようになってきたのかもしれません。あるガイドブックには大きく載っていましたので、これからもっと来店者が増えるのかもしれません。ここの一番人気はチーズケーキとのことで、ガイドブックにもそのように書かれているのですが私はまだ食べたことがありません。個人的には4月~6月限定のルバーブパイが一押しだからです。ルバーブパイは酸味のあるパイですが、アイスクリームと一緒に食べると本当に美味しいですし、私にとっては懐かしい味でもあります。繊維も豊富なので、勝手に体にもいいのでは、とも考えています。ここ以外でルバーブパイを提供している場所を知らないので、来年もまたぜひ来ることになるでしょう。10月頃にはリンゴパイもあるようです。これもまた気になります。もちろんチーズケーキも気になります。近いうちにまた鎌倉に来ることになるかもしれません。

私がいたときに来店した人たちは皆チーズケーキを注文していました。一番人気ですから仕方ないのでしょうが、個人的にはルバーブパイもぜひぜひ食べてみて欲しい。それなのに、写真を撮るのを忘れてしまいました。最初は、写真を撮るのを忘れないようにしなきゃな、とは思っていたのです。ところが運ばれてきた途端、「美味しそう!」という思いで頭がいっぱいになり、「あ、写真」と思ったときにはすでにあと一口しか残っていませんでした。残念。

一時間ほどゆっくりして、午後4時過ぎに明月院へ向かいました。普段は午後4時までなのですが、6月の紫陽花の季節は午後5時まで開いています。そんなこともあり、閉門近くの時間に行こうと思っていた訳です。

ですが、やはり人はたくさんいました。日中よりは減っていたのかもしれませんが、有名な石段の参道と丸い窓のある方丈では多くの人がカメラを片手に列を作っていました。ただ方丈の真向かいにある枯山水の石庭にはあまり興味を持っている人がいないようで、少しもったいない気もします。

方丈前の枯山水庭

昨年は6月の下旬に訪れて、すでに紫陽花の元気がなくなってきたときだったので、今年は少し早目にやってきました。その甲斐あって、紫陽花はとてもいい感じでした。不思議だったのは、石段のの参道脇の紫陽花に明月院ブルーと呼ばれる姫紫陽花だけでなく、別の色の紫陽花が増えていたことです。紫陽花の色は土壌によって変わるということですが、土壌の質が変わってきたということなのでしょうか。様々な色が咲き乱れる紫陽花も好きですが、個人的には明月院のブルー一色の紫陽花もとても気に入っています。

明月院ブルー

ただ、やはり紫陽花の写真を撮るのは難しいです。どのような構図で撮れば良いのかなかなかつかめないからです。あまり大きすぎる紫陽花ではなく、小振りの丸い紫陽花が好きで、勝手に「美人な紫陽花はないかなぁ」と考えながら歩き回っていました。アップで撮るのがいいのか、全体を撮るのがいいのかいろいろ悩みます。上と下にある写真はなかなかきれいに姫紫陽花ブルーを表しているとは思いますが、構図的にどうかと問われるとそれほど自信がある写真ではありません。心の赴くままに撮ればいいのだとは思うのですが、フィルムカメラの場合はファインダーを覗いては止める、という動作を何度も繰り返してしまいます。紫陽花はとってもとっても綺麗なのに・・・。

ブルーが鮮やかです

途中で沙羅双樹の花が飾られていました。1日しか咲くことのない沙羅双樹の花。沙羅双樹の花と言えば平家物語の序文でしょう。ところが、この沙羅双樹の花を見て、「シャクヤクが咲いているね」と写真を撮っている人がいて少しびっくりしてしまいました。個人的に平家物語の序文が好きなので、沙羅双樹の花の写真もしっかり撮ってきました。一日しか咲かない沙羅双樹の花。確かに「おごれる人の久しからず・・・」です。


途中でかわいらしいお地蔵様やウサギとカメの置物がありました。普段はあまりお地蔵様が得意ではなく、どちらかというと避けてしまうのですが、このようなかわいらしいお地蔵様であれば大丈夫です。お地蔵様は民衆に最も近い菩薩とも言われているのですが、私はどうも苦手です。これまた少々不気味に感じてしまうからです。感覚というのは不思議なのもので、様々な菩薩像がある中で、どうしても地蔵菩薩はだめなのです。下の写真のお地蔵さまはまさに現代のゆるきゃらのようなかわいいお地蔵様ですから、お寺の本堂などに安置されている地蔵菩薩とは相当雰囲気が異なります。


午後5時前には明月院を後にしました。結局閉門間際まで訪問客が途切れることはありませんでした。日中よりは少ないとはいえ、この時期はいつ行っても人が多いのでしょう。これだけ見応えのある紫陽花ですから仕方がありません。紅葉の季節もきれいなのだそうですが、その時期も人の出は多いのでしょうか。10月にはSissy’sではリンゴパイが作られるようなので、それも気になるところです。奈良よりはずっと近くて便利な鎌倉ですが、次に訪れるのはいつになるでしょうか。


川を眺めるウサギとカメ

明月院から北鎌倉へ向かう裏道に咲く真っ白な紫陽花

2015年6月17日水曜日

水月観音 ~東慶寺~

東慶寺も多くのカメラマンや観光客で賑わっていました。もしかしたら浄智寺よりも人は多かったかもしれません。カメラマンのグループもいくつかあって、お互いに液晶画面を見せ合って先生らしき人に質問したりしていました。

ちょうど、剪定作業の真っ最中で、何人もの植木職人の方々が作業をされていて、それはそれでなかなか興味深かったです。

今回、初めて宝蔵館に入ってみました。本堂は行ったことがあったのですが、宝蔵館はあることすら知らなかったのです。小さいとはいえ、参道のすぐ脇にあるので何度も目にはしているはずですが、興味がないとは怖いもので、まったくにアンテナに引っかからなかったようです。人の目というのは都合よくできているものだとつくづく思います。

東慶寺の紫陽花

400円の入館料を支払って中に入ると、すぐに聖観音菩薩立像があります。これがまたいい感じなのです。土紋とよばれる装飾技法が用いられている数少ない仏像だそうでが、その紋様だけでなく全体の雰囲気や表情も素敵な仏像でした。もともとは別のお寺に安置されていたとのことです。仕方のないこととはいえ、宝蔵館の片隅にたたずむ聖観音菩薩を見ていると少しさみしい感じが感じもしてしまいます。やはり仏像はお堂の中で拝観したい、と思うからです。展示品としてではなく信仰の対象としての仏像は様々な人々の思いが詰まっている気がして、それだけでいろいろと感じ入ってしまいます。

宝蔵館の聖観音菩薩 ガイドブックより

二階の展示室には女性の駆け込み寺だったここ東慶寺の文書が展示されていました。今で言うところの離縁状などが展示され、東慶寺に駆け込んだ場合、どのように物事が進んでいくのかなどの説明もありました。勉強にはなりましたが、興味からすると残念ながらそれほどではありません。

さて、今回東慶寺を訪れた一番の目的は、通常公開されていない水月観音を拝観することです。予約をすれば良いとのことで、数日前にメールで予約を入れていました。時間になったので行ってみると、女性二人組が二組と私の5人のようです。係の女性が本堂を抜けてさらに奥にある部屋まで案内してくれます。

水月観音が安置されている部屋は本堂に続く小さな明るい部屋で、壁際に月のようにくりぬいた場所に置かれていました。小さな仏像ですが、とても優雅なお姿です。自然光の下では目がはっきりと見えキリッとした表情なのですが、電気がつくとふっと節目がちになるのが不思議です。光によって表情が変化する水月観音を見ていて思い出したのは、滋賀県の湖東三山の一つ、西明寺です。ここにも光によって表情を変える仏像が安置されていました。心なしか顔つきも似ている気がしないでもありません。

水月観音菩薩 ガイドブックより

水辺に座り少し前屈み気味に右斜め前を見ている様子なのだそうです。水面に映る月を見ていると言われる像で、全体も柔らな雰囲気を持っています。衣から見える手足も少しふくよかで、手足だけを見ると幼子のようにも見えます。最後に電気を消した状態をもう一度見させてもらいました。やはり、白眼がはっきりと見え、表情がキリッと引き締まります。さらに、頬のふくらみも強調されるようで、さらにふくよかな顔になるのです。見る人によって表情は変わるかもしれませんね、と係の女性が言っていました。作られたのは13世紀頃だとのことですが、詳しいことはあまりわからないのだそうです。

鎌倉にこんなに素敵な仏像があるというのは少し驚きでした。特に東慶寺の水月観音と聖観音菩薩立像はとってもお勧めです。

次はいよいよ明月院です。

仏像と紫陽花
不思議な色の紫陽花でした


2015年6月16日火曜日

久しぶりの鎌倉 ~浄智寺~

紫陽花の季節です。先週は頑張って京都日帰りをやってきたので、今回は鎌倉に行ってみることにしました。北鎌倉です。浄智寺、東慶寺、明月院とまわってくることにしましたが、もちろんどこも紫陽花で有名なところばかりです。特に明月院ともなれば大混雑は必至。どうなるかわかりませんが、閉門ギリギリに行くことにしました。

今回は紫陽花ももちろん大きな目的ですが、それよりきちんと仏像を見てこようと思っていました。鎌倉にはもう何度も訪問していますし、数年間は足蹴く通っていたと言っていいほど何度も訪れていたのですが、仏像にはまったく触れていなかったのです。その頃は鎌倉の雰囲気や花々を見るのが好きだったので、お寺に行っても仏像にはまったく目もくれませんでした。そんなこともあり、今回はきちんと仏像にもお会いしてこようと思ったわけです。

まず訪れたのは浄智寺です。北鎌倉駅周辺は、やはり多くの人でごった返していました。そして多くの人がカメラを片手に歩いています。浄智寺にも紫陽花目当てのカメラマンたちがたくさん来ていました。

浄智寺の庭?
ひっそり佇む観音さま?
額紫陽花がきれいでした

でもまずは本堂へ。奈良や京都に比べるととても小さな本堂ですが、中には三躰の如来像が座していました。左から阿弥陀、釈迦、弥勒だそうです。外からしか拝観できないのですが、本堂が小さいので意外と近くに見ることができます。三躰とも如来像ですが、中央の釈迦如来が両脇の如来より幾分ほっそりしています。一般的に中央の仏像が一番どっしりしていると思うのですが、ここの仏像は逆でした。目の白眼と黒眼がしっかり見えるので、睨まれているというほどではありませんが、強い眼力を感じます。

ご本尊三体

そして、この本堂の裏手には観音菩薩立像があるのですが、小さなスペースに置かれていて、案内板がなければ見過ごしてしまいそうなほどです。こちらの観音像もなかなかいい感じの像です。
今回、どこにも撮影禁止のサインがなかったので、三躰の如来像とこの観音菩薩像の写真を撮ってしまいました。もしためだったらごめんなさい。

聖観音立像

紫陽花はきれいに咲いていましたが、一眼レフを取り出して写すほどの衝動にかられることがなく、スマホでブログ用の写真を撮るだけになってしまいました。花を撮るのは難しい、と最近つくづく思います。感性のままに撮れば良いのかもしれませんが、考え過ぎなのかもしれません。絵葉書のような写真を撮ってもつまらないのです。だって同じ構図であればプロの方がきれいに撮るに決まっているのですから。

そんなことを思いつつ、次の場所である東慶寺へ向かいます。

道端に咲いていた花

2015年6月10日水曜日

紫陽花はすごいけれど・・・ ~京都 三室戸寺~

岩船寺のあと、加茂駅からJRを乗り継いで宇治までやってきました。三室戸寺までは30分ほど歩くかタクシーかと考えていたのですが、6月はちょうど紫陽花の季節と言うことで、アジサイ号という臨時バスが出ているとのことで、思いがけず楽に安く行くことができました。

一万本の紫陽花が植えられているという三室戸寺です。思っていたほどの混雑ではありませんでしたが、やはり紫陽花目当ての観光客がたくさん来ていました。

まず門をくぐると右手に広々とした紫陽花園が眼下に広がっています。まだ満開ではないとのことでしたが、一面に広がる紫陽花は圧巻でした。それも上から眺められるということで、紫陽花で埋め尽くされている全景を見ることができるのです。ですが、そこは後で行くことにして、まずは本堂へ向かいます。
眼下に広がる紫陽花園

石段を登っていくと、目の前に大きな本堂が見えてきます。そして、本堂の前にはこれまた多くの蓮の鉢が置かれていて、7月の蓮の季節はまた見応えがあるのだろうと、容易に想像がつきます。
が、お寺としての魅力は残念ながら感じることができませんでした。御朱印も頂きましたが、なんとなく流れ作業のように見えてしまい今ひとつ。ご本尊も遠くにしか見ることができないので、仏像という意味でも今ひとつ。三重塔もありましたが、この時点で私の三室戸寺に対する評価が今ひとつとなってしまったため、三重塔も結局は今ひとつとなってしまいました。

三室戸寺の本堂

大きなお寺や観光客がたくさん訪れるお寺は、お寺そのものに相当の魅力がない限り、私の中の評価は今ひとつになってしまうのです。観光客がたくさん来るけれど評価も高いお寺は、法隆寺、薬師寺、唐招提寺、東大寺、東寺、辺りでしょうか。東大寺は本堂ではなく法華堂の評価が高いのですが。とにかく、三室戸寺は残念ながら、もう一度訪れたいというお寺にはなりませんでした。
ただ、紫陽花は本当に素晴らしかったです。様々な紫陽花が咲き乱れていて、とても見応えがあります。写真という意味では、紫陽花だけの写真になってしまうので、フィルムではまったく撮りませんでした。紫陽花だけであれば、わざわざ京都や奈良に来なくても見られるわけで、紫陽花だけの写真を撮っても個人的に面白みがないと考えているからです。何度かファインダーを覗いたのですが、ただの紫陽花の写真になるなぁ、とシャッターを切りませんでした。その分、じっくりと紫陽花は鑑賞しました。

色鮮やかな紫陽花

青、紫、ピンク、白と様々な色合いの紫陽花があり、手毬のような紫陽花もあれば額紫陽花もあります。花びらに特徴のあるものもありました。もともとは手毬のような紫陽花が好きだったのですが、最近は額紫陽花の良さもわかるようになってきました。それぞれがそれぞれの良さを持っていて、とても魅力的です。

そんな紫陽花を堪能して、今回の京都日帰りは終了です。来週あたりには鎌倉に行ってみようかな、と思っています。混んでいるでしょうけれど、近いですし何度も訪れている場所でもあるのですが、意外とお寺・仏像という視点で見ていなかったことに最近気付いたのです。紫陽花ももちろんですが、お寺としての訪問をしてこようと思っています。




2015年6月9日火曜日

紫陽花の季節 ~京都木津 岩船寺~

紫陽花の季節です。奈良に限定されている花ではありませんが、やはり奈良に行きたくなります。ちなみに今回訪れた岩船寺は京都府にありますが、大和路のお寺に分類されているので、あえて奈良のお寺というラベルをつけています。

旅に出るとき、割と綿密に計画を立てるのが好きで、ずいぶん前から何時に出発して何時の電車やバスに乗るかなど、細かく調べていきます。その時間も楽しいので、晴れたときのバージョン、雨のときのバージョンを作ったりもします。何度も計画しては変える作業を繰り返すのですが、それでも結局当日に全とっかえ、ということもよくあります。今回もそれに近い状況でした。
最初は気に入っている海住山寺、紫陽花寺と呼ばれる岩船寺、浄瑠璃寺にも寄って帰ってこよう。そう思っていました。ところが思ったよりも雨が止みそうになかったので、急遽変更して岩船寺と三室戸寺に行くことにしたのです。

ところがここで問題が発生。順調にいけば、ほとんど待ち時間なしで一時間に一本という岩船寺まで行けるコミュニティーバスに乗れるはずだったのに、京都から木津までのJRがまさかの遅延。6分ほどの遅延でしたが、ギリギリの乗り換え時間しかなかったので、6分とはいえとても痛いのです。木津での乗り換えはわざわざ待っていてくれて乗ることができたのに、コミュニティーバスは間に合いませんでした。

次のバスは1時間後です。さすがに日帰りの京都で1時間を潰す余裕はありません。少々痛い出費でしたがタクシーを利用することにしました。約1800円でした。

岩船寺には最初、参拝者は私以外誰もいませんでした。雨は弱まっていましたが、まだポツポツと降り続いています。しっとりとした静かな境内がすばらしく、しばしぼーっと佇んでいました。青々と生い茂る緑の奥に、朱色の三重塔が見えます。鬱蒼と茂る木々の間から覗く朱色はよく映えます。

雨にかすむ三重塔
まずは本堂へ。大きな阿弥陀如来と凛々しいお顔の四天王が出迎えてくれます。中に入るとすぐに住職の方が出てこられて説明をしてくれました。今回心に残ったのは蝋燭の話でした。お堂に蝋燭は欠かせないものだと。電気は人の外側を照らすが蝋燭は人の内面を照らす。蝋燭は自らを溶かしながら周りを照らし、仏教の教えをまさに示していると。だから、美術館や博物館であれば仕方ないけれど、お寺に蝋燭は欠かせないのだと。最近は蝋燭型の電気もあるがどうなのですか、と聞くと、守るためには仕方のないことかもしれないけれど、あまり良い気はしませんな、とのことでした。火災などの危険回避を考えれば蝋燭は確かに危ないかもしれないけれど、やはりお堂の中でゆらめく蝋燭の光はどこか侵しがたいものがあるのも事実でしょう。

お堂に座っていると、外からポツポツと雨の音が聞こえ、時折カエルの鳴き声も聞こえてきます。いい感じです。このまましばらく座っていたかったのですが、お話好きの住職の方のようで話が終わりそうになかったので、頃合いを見計らって本堂の後ろ側にまわってみました。ここには個人的に気に入っている、普賢菩薩騎象像があります。もともとは三重塔に安置されていたそうです。普賢菩薩も小ぶりながら素敵なのですが、それより何より象の表情が大好きです。にへら~と笑ったたれ眼の顔で、威厳もへったくれもありません。ただ、他のお寺で見る象の眼もほとんどがたれ眼なので、岩船寺が特別というわけではなさそうです。それでも、ここまで表情がはっきり残っているものは見たことがなく、見ているとついついこちらの顔もほころんでしまいます。この象に会うために岩船寺に来てもいいと思えるくらい気に入っています。

普賢菩薩騎象像(パンフレットより)

ミニチュアの十二神将もなかなかかわいらしいです。頭が大きく三頭身か四頭身くらいの小さな像で、ずんぐりむっくりです。つい触ってみたくなってしまうのですが、もちろんそれはご法度です。センサーも取り付けられているようですが、そうでなくてもお寺の大事な宝物ですから、気安く触ろうとしてはダメですね。

紫陽花はまだ少し早かったようです。色づいているものもありますが、濃い色になるのはもう少し先のようです。それでも最近の雨のおかげか、瑞々しくとても柔らかな表情を見せてくれます。小さな丸い紫陽花を優しくポンポンと手の上で弾ませてみました。柔らかくてしっとりと雨に濡れていて、何とも言えないかわいらしさです。ずっと手の上でポンポンさせていたい感じだったのですが、ふと見上げた先に見えた紫陽花にギョッとしました。黒いゲジゲジの毛虫がくっついていたのです。自然豊かな場所にいるのですからそれなりに虫がいるのは大丈夫とはいえ、毛虫は無理です。落ちてこないで、と心の中で叫びながら、そっとその場を離れました。

紫陽花と本堂

紫陽花ですが、色が濃くなった紫陽花も好きですが、色が変わり始める頃の柔らかな紫陽花の方が好きかもしれません。そしてやはり紫陽花には雨が似合います。5月は暑い日が続き、雨もほとんど降らなかったため、地元の道端で見かける紫陽花はずいぶん元気がありませんでした。しょんぼりと首を垂れてしまっていたり、少ししおれかけているような状態になっていたりしていたのです。ですから、数日前から雨が降るようになり、やった!と思っていたわけです。普段は、大きなカメラを抱えていることもあり、雨はあまり降って欲しくないと思いがちなのですが、紫陽花のときは違います。雨でOKなのです。OKどころかウェルカムです。さすがに土砂降りはきついですが、それでも雨は大歓迎です。最近は何枚も撮るわけではないので、無理をせず鑑賞することも大事にするようにしています。そんなこともあり、雨は降り続いていましたが、思いっきり紫陽花を満喫することができました。
淡い青

三重塔の近くにも行ってきました。平成15年に修復されたばかりなので、新しい感じの三重塔ですが、先ほども書いたように濃い緑の中では朱色がとてもよく映えます。岩船寺は紫陽花寺と呼ばれてはいますが、四季折々の花が咲くようです。また楓などの木も多くあるようですし、紅葉の時期もきれいなのかもしれません。紅葉に埋もれる三重塔も見てみたいですが、紅葉の時期は行きたいところがありすぎて大変です。

三重塔と紫陽花

コミュニティーバスの時間が近づいてきたので、岩船寺を後にすることにしました。この頃には数組の参拝者たちが訪れていましたが、それでもとても静かです。不便だからこその静けさなのかもしれません。個人的にはとても良いことだと思っています。

このあと三室戸寺へ行ったのですが、まったく異なる雰囲気のお寺でした。






2015年6月7日日曜日

facebook ~怖いけれどすごい・・・~

仏像にも奈良にもカンボジアにも全く関係のない話ですが・・・。

ブログをやっていてこんなことを書くのもおかしいかもしれませんが、ネットは怖い、と常日頃思っています。一応facebookのアカウントは持っていますが、個人的なアップはごく少数の人々にしか公開していませんし、自らの写真をアップすることもありません。自意識過剰と言われてしまえばそれまでですが、やはり不特定多数の人々に知らぬ間に自分を知られるというのはやはり気持ち悪いと思ってしまうのです。

そんなfacebookですが、すごいなぁ、と最近感心してしまいました。なんとウン十年以上も前に付き合っていた友人から突然メッセージが届いたのです。アメリカに住むJさんですが、メッセージが届いた時にはつい「うおっ!」と声を挙げてしまいました。Jさんは自分の顔写真をアップしていたのですぐに彼女だとわかりましたが、もうウン十年も前の友人です。まったく連絡を取っていませんでしたし、お互いの連絡先もまったく分からなくなっていました。そんな彼女が、ほとんど何もアップしていないfacebookから私を探し出すのですから、情報網というのはすごいものです。きっと私が、「これくらいであれば私だとわからないだろう」という情報でも、見方によってはすぐにわかってしまうということなのかもしれませんが・・・。

それにしても懐かしい顔でした。大学時代の友人で、彼女の結婚式にも招待されるほどでした。それがいつの間にか疎遠になり、あっという間にウン十年経ってしまうのですから、時間が経つ速さに改めて驚かされます。彼女のプロフィールを見ると、以前は奈良市に住んでいたとあります。知り合ったときには奈良にまったく興味を持っていなかったこともあり、まったくアンテナに引っかかっていませんでした。今さらながら、人は興味関心のないことにはまったく気付かないで通り過ぎてしまうのだと考えさせられてしまいます。

彼女は今、アメリカにいますからなかなか会うことは難しいのかもしれませんが、この歳になっていろいろと聞いてみたいことが出てきます。

彼女からメッセージが届いてから、なぜか心が弾む今日この頃です。