2015年9月26日土曜日

赤目四十八滝 ~初の伊賀~

初めて伊賀を訪れました。M氏という同僚の友人が伊賀に住んでおり、案内をしてくれました。まず訪れたのが赤目四十八滝という場所です。名前は以前から聞いたことはありましたし、滝好きとしては少し気になっていたところはありますが、まさか訪れることになるとは思いませんでした。

名張駅で待ち合わせをし、M氏の車に乗り込んで出発です。朝早く8時半頃に到着したこともあり、赤目四十八滝はまだまだ静かでした。そしてなんといっても涼しい。ここは川沿いの遊歩道を歩きながら滝を見ることができます。四十八滝というので四十八の滝があるのかと思っていましたが、実際には二十ちょっとなのだそうです。それなのになぜ四十八というのかというと、仏教用語で四十八というのは「たくさん」という意味があるそうで、たくさんの滝があるということから四十八滝と呼ばれているそうです。また、この辺りは修験道の修行をする場所でもあるとのことで、もともとは滝の名前に菩薩の名前がついていたのだそうです。それが、明治時代の人たちが大小様々な滝にいろいろな名前を付けて、観光地としてアピールをし始めたとのことでした。

この赤目にはなんとオオサンショウウオがいるとのことで、最初にちいさな展示場所に大小様々なオオサンショウウオがいました。夜行性ということであまり動いてはいませんでしたが、大きさにはびっくりします。なんといっても天然記念物ですから。のっそりとしている姿はどこかユーモラスでもありますが、ここ赤目にはたくさん住んでいるそうです。

ほとんど動かなオオサンショウウオ

そしていよいよウォーキングの開始です。とにかく周りを木々に囲まれ川が流れているということもあり、とても涼しくて気持ちがいいのです。そして頭上からは木漏れ日がきらきらと輝いていて、何とも言えずすてきな空間が広がっています。多少のアップダウンはあるものの、それほど急な登りもなく、とても清々しい気持ちでウォーキングを楽しむことができます。

木漏れ日が何とも言えず綺麗

滝は落差が小さいものから20m位のものまでさまざまです。まるで真っ白な絹が流れているような滝や、滝壺が琵琶のように見えることから琵琶滝と呼ばれるものなど、すてきな滝もたくさんあります。この遊歩道を外れて急勾配の坂を上った先には大日如来からとった大日滝という滝があり、そこでは滝行の体験もできるのだとか。私はもちろん遠慮しました。同僚は12月の寒い時期に実際に体験したそうです。お寺や仏像などに興味を持つ私ですが、修行にはあまり興味を持てません。

絹のような滝

琵琶滝(だったかな?)
滝を見学し、M氏の説明を聞きながらのウォーキングを2時間ほどしたところで引き返すことになりました。帰りは、室生寺と赤目のつながりや、今後室生寺と一緒にイベントを行うかもしれないという情報を聞きながら、入口まで戻ってきました。この頃になると、シルバーウィークということもあり、観光客の数がぐっと増えます。川を上ってくる人々の数が一気に増え、家族ずれ、年配のグループなど様々なグループが思い思いの格好で遊歩道を歩いてきます。ピクニックをすることも可能なようで、川の近くにビニールシートを敷いて、ランチを始めるところのグループもありました。これだけの森林浴と涼しさですから、食事も格別なことだと思います。


帰りはずんずん歩いてきたので一時間ほどで入り口にたどり着きました。そして頂いたのが赤目名物の「へこきまんじゅう」。初めて聞いたときはさすがに引きました。M氏も笑っていましたが、関西の人たちは笑い、関東の人たちは引くのだとか。しかし、同僚からこれはとっても美味しいからぜひ、と勧められて頂くことにしました。抹茶、クリームチーズ、餡子などいくつかの種類があり、サツマイモでできた饅頭の中に挟み込まれています。サツマイモでできている、ということで「へこき」などという面白い名前がついたようです。

そしてその味ですが、めちゃくちゃ美味しいのです。クリームチーズが一番のお勧め、と聞いたときは半信半疑でしたが、食べてみてこんなにサツマイモと合うのかと驚いてしまいました。少し小腹が空いていたこともあるのかもしれませんが、それでもとっても美味でした。ほくほくとしてサツマイモのほんのりとした甘みとクリームチーズの酸味が程よくマッチして、美味しい美味しいとつい連呼してしまうほど。日持ちがするのであれば、数個お持ち帰りもしたかったほどです。名前で判断してはいけない、と改めて思わされました。赤目を訪れる際はまたぜひ食べたい一品です。

へこきまんじゅう
この後は、以前個展を見学させていただいた伊賀焼きの窯元の見学です。

2015年9月25日金曜日

灌頂堂特別開帳 ~室生寺~

室生寺は特別です。自分でも不思議になってしまうほど好きになってしまっています。室生寺に行く機会に恵まれていないとき、なぜかそわそわしてしまい、次に行けるのはいつだろうか、と手帳を見ながら考えてしまう自分がいるのです。年間パスポートが欲しいくらいです。

さて、今回は灌頂堂の特別拝観ということで、ずいぶん前から訪問しようと計画していました。毎年、金堂の特別拝観は行われているのですが、灌頂堂の特別拝観は私にとっては初めてです。午前中に稲渕の棚田を満喫した後、近鉄線に揺られて室生口大野までやってきました。やはりシルバーウィークということもあるのか、室生寺へ向かうバスも満席状態でした。いつもはひっそりとしている室生寺も、シルバーウィーク、灌頂堂特別拝観ということで、拝観者の数もずいぶん多いようでした。

まずは近くの橋本屋で遅めの昼食を頂きました。今回はシメジ丼です。親子丼の鶏肉の代わりにシメジが使われている丼ぶりで、味は少し甘めです。そして、この丼ぶりにつくとろろ汁が最近のお気に入りです。アツアツのとろろ汁で、とろろ芋はもっちりとした食感に変わっていて、とっても美味しいのです。冬場に食べるとさらに体が温まりそうです。少し遅めの時間だったのですが、次から次へとお客さんが入ってきます。やはりこの時期の観光客は多いようです。

そして室生寺です。帰りのバスの時間を気にしなくて済むようにと、今回は仁王門前の納経所でご朱印を先に頂くことにしました。今回、この納経所にいらっしゃったのが網代僧侶でした。何回かお目にかかっているので、向こうも覚えてくれています。金堂か奥の院でお目にかかることが多かったので、納経所でお会いするのは初めてかもしれません。せっかくなので、「悉地院」と書いて頂きました。別の方にも書いて頂いた「悉地院」ですが、網代僧侶のものは初めてです。私ごときが言うのも何ですが、ずいぶんと柔らかいタッチになったなぁ、と思いました。そのことを伝えると、「最近、写経を前より真剣にやるようになったからですかねぇ」と笑っていました。とてもフランクに話をしてくれる方なので、ついつい長居をしてしまいそうになりますが、次の方もいらっしゃったのでお礼を言って納経所を後にしました。

百日紅が咲いていました

まずは灌頂堂へ向かいます。室生寺の本堂にあたる場所になるのでしょうか。特別拝観中ということで、いつもとはずいぶん雰囲気が違っていました。今回初めて、ご本尊の如意輪観音像の間近まで行くことができ、ゆっくりと拝観することができました。いつもは外陣から少し遠目でしか拝観することができなかったのですが、今回は初めて内陣まで入ることができたのです。また、灌頂という儀式で使われる曼荼羅も間近で見ることができました。仏教の儀式にはまったく疎い私ですが、説明文を読みながらなんとか理解しようとがんばりました。それでもまだ???のことは多いですが・・・。

灌頂堂では初めて御詠歌なるものをご朱印帳に書いて頂きました。これがまた素敵なのです。短歌ですが、それぞれのお寺の御詠歌があるようなので、御詠歌を集めるご朱印帳を用意してもいいかも、とまで思ってしまいました。最近、万葉集の短歌を読んで、しみじみといいなぁ、すてきだなぁ、と思っている私ですから、御詠歌に魅せられてしまうのも必然のことなのかもしれません。

さて、いよいよ奥の院です。今回、まったくの偶然だったのですが、毎月21日に行われる奥の院の特別開帳ともぶつかっていました。これはとってもラッキーです。毎月21日に特別開帳が行われていることすら恥ずかしながら把握していませんでしたから、今回は本当にただただラッキーだったのです。20日に訪問しようかとも思っていましたから、21日にして本当に良かったです。ただ、午前11時頃に行われる法要には間に合わず、これはまた次回の機会を待つしかありませんでした。

いつも息を切らしながら上る階段ですが、今回もゆっくりゆっくり上ります。別に急ぐ旅でもありません。あまり息が上がらない程度にゆっくり上りました。人も多いのですが、あまり気にすることなく登ります。そして、上りきった後は、まずは常燈堂とよばれるお堂の脇にあるベンチに腰かけて息を整えます。そして、奥の院の納経所で奥の院のご朱印を頂く、というのが最近の流れになっています。

奥の院

今回、奥の院の納経所にいらっしゃったのは、堀本さんと山岡僧侶でした。堀本さんは何度かお目にかかっていて、お話もさせていただいているので顔見知りと言わせていただいてもいいかもしれません。今回、山岡僧侶とは初めてでしたが、この山岡僧侶が室生寺のfacebookやHPを担当しているとのことで、そのことでも話が盛り上がってしまいました。とても手作り感のあるfacebookというか、専門の方がいらっしゃるわけではないので、更新もそれほど頻繁ではありません。そんなこともあり、お二人に「申し訳ありません・・・」と笑いながら頭を下げられてしまいました。山岡僧侶もとても気さくな感じの方で、堀本さんと一緒にいろいろと話をさせていただきました。今回は参拝客が多くてゆっくり話をすることが叶いませんでしたが、年末年始の情報などを聞けたり、紅葉シーズンの話などを聞けたので良かったです。

奥の院での特別開帳も忘れてはなりません。今回初めて奥の院の御影堂で空海の像を拝観することができました。短時間ではありましたが、堀本さんがわざわざ出てきてくれて、この像は空海が42歳のときの像だと言われていること、高野山まで行くことのできない人たちが訪れる場所でもあること、厄除け大師とも言われていることなどを説明してくれました。ご朱印を頂く方が列を作り始めて、またすぐに納経所に戻られてしまいましたが、わざわざ説明をしていただいて嬉しい限りです。

30分ほど奥の院でゆっくりした後、山岡僧侶、堀本さんに挨拶をして、本堂へ下ることにしました。そして金堂へ向かいます。ここもやはりシルバーウィークということもあるのか、ずいぶんと拝観者がいました。静かなときは独り占め状態になるときもあるのですが、さすがに今回はなかなかゆっくりと拝観することは難しかったです。

五重塔近くにある石仏 十一面観音でしょうか
最後に金堂のすぐ脇にある弥勒堂へ向かいます。ここには釈迦如来座像がいらっしゃるわけで、やはりここも外すことはできません。係の方がいる小さな部屋をちらりと見てみると、チケットファイルが販売されていることに初めて気付きました。この弥勒堂に座す弥勒菩薩と釈迦如来坐像の写真が載っているファイルです。値段も200円ということで、ついつい買ってしまいました。すでに自宅には様々なお寺や仏像のA4クリアファイル、A5クリアファイル、チケットファイルなどがあるのですが、好きな図柄や写真が載っているとついつい買ってしまうのです。

そのとき、係りの方に「室生寺は何回くらい来ているのですか?」と聞かれたので、「5,6回でしょうか。」と答えると、「前回、とてもゆっくり拝観されていましたよね。なんとなく覚えています。」とおっしゃって頂きました。確かに8月に訪れたときは3時間ほど室生寺にいました。今回も3時間近く室生寺でゆっくりしていました。「室生寺のどこが好きなのですか?」と聞かれたので、「すべてが好きなのですが、その中でも佇まいが好きです。」と答えると、「よくわかります。」とにっこり。話を聞くと、この年配の係の男性は、定年退職したらお寺で働きたいと考えていて、たまたまここ室生寺での職を紹介してもらったのだとか。そして、秋田からわざわざ来られたのだと言います。それも奥様を残して、と笑っていました。お名前は聞きそびれてしまいましたが、またどこかでお会いすることがあるでしょう。

帰りに仁王門近くの納経所を覗いてみると、網代僧侶がおり、特にご朱印を書いているようでもなかったので、帰りの挨拶と思い声をかけました。11月の紅葉の時期にまた来ます、と伝えると、その時期に行われるスペシャル・イベントについていろいろと教えてくれました。ただ、日程的に参加するのは難しいので、残念ながらどのイベントにも参加はできなさそうでした。「今回はうまし夏めぐりもあったんですよ。」とも言われました。もちろん知ってはいたのですが、夏の企画は「僧侶とランチ」というもので、私にとっては少々苦手なシチュエーションです。緊張して何を食べたのかもわからなくなりそうだからです。そう伝えると、「たわいもない話で盛り上がってましたよ。」と言います。まあ、そうなのでしょうけれど、私には見学をしながら説明をしていただいた方が楽なのです。ですので、もしかしたらまた「うまし冬めぐり」には参加するかもしれません。そんな話をしていると、ご朱印を頂きに来た方が見えたので、網代僧侶に挨拶をして室生寺を後にしました。

そして最後はヨモギ入り回転焼きです。一個90円という安さと、もっちりとした美味しい回転焼きで、最近は室生寺に行くたびに買って食べています。が、写真を撮ったのは今回が初めてです。ついついすぐに食べてしまうので、写真を撮るのを忘れてしまっていたからです。

次は11月の紅葉の季節です。




ヨモギ入り回転焼き 美味!

稲渕の棚田 ~明日香村の水田と曼珠沙華~

奈良の二日目ですが室生寺には午後に訪れようと思っていたので、午前中は明日香村の万葉博物館へ行こうと思っていました。ところが、初日の夜に見たニュースで、この稲渕の棚田で行われている案山子ロードについての取材が放映されていて、これはぜひ足を運んでみたい、と思ってしまったのです。そこから急いでネット検索です。スマホしかありませんので、小さな画面で一生懸命に検索していました。

まずアクセスですが、石舞台から歩いていくしかなさそうです。橿原神宮前から出ている赤かめバスという明日香村の周遊バスでまずは石舞台まで行き、そこから歩いていくしか方法はなさそうでした。石舞台までは宿泊していた桜井駅からも朝の時間にはバスが出ているようだったので、まずはこのバスに乗って石舞台まで行くことにしました。そして、いくつかのブログを読んでみると、石舞台から歩いて30分ほどのところにこの稲渕の棚田はあるようでした。30分くらいなら歩けます。ということで、急遽予定を変更して稲渕へ行くことにしました。

朝、8時45分発のバスに乗り込み、約30分ほどで石舞台に到着しました。小型のバスでしたが、10名ほどの乗客がいて、ほとんどが石舞台で降りました。石舞台のバス停にあった地図で再度確認をし、歩き始めます。まだ朝早いこともあり、あまり歩いている人は見かけません。青空が広がり、心地よい風に吹かれながらてくてく歩くこと20分強。すてきな田園風景が目の前に広がってきました。


これも昨晩のニュースで初めて知ったことですが、この稲渕の棚田は日本の棚田百選にも選ばれているそうで、なかなか有名な場所なのだそうです。特にこの時期は曼珠沙華も満開で、さらには案山子ロードの案山子コンテストまで行われているということで、観光客の数も相当多いのだとか。これからどんどん人が増えて行くのでしょう。

棚田と曼珠沙華
色が鮮やかです
それにしてもこの田園風景はすてきです。棚田とその畦道に咲く曼珠沙華との緑と赤のコントラストが何とも言えず鮮やかです。ただし、やはりその風景を切り取るとなるとなかなか難しいものがあります。カメラを構えてみても、なんとなくありきたりの風景になってしまい、シャッターを押さずに写真を撮るのをやめてしまうことも多々ありました。

さらに歩いていくと、案山子ロードの入り口が見えてきます。ここまで来ると、さすがに多くの人々の姿が見えてきます。車の路肩駐車は禁止されているのですが、ほとんどの人たちが車で来ているようで、駐車禁止のテープが貼られていないところを見つけて駐車してしまっています。

案山子路
案山子ロードにはその名の通り、たくさんの案山子が立っています。コンテストということもあり、工夫凝らした案山子がたくさんあります。今年のテーマは「田んぼで働く人」ということで、たくさんの案山子が思い思いのポーズを取りながら、仕事にいそしんでいました。個人的には昔ながらも案山子の方が好きなのですが、ここ案山子ロードの案山子たちは人形あり、タコあり、ロボット風ありとなんでもありです。

かわいらしくてついシャッターを切ってしまいました
これもなんとなく気に入ってしまいました
そんな案山子たちを見ながら細い道を歩いて行きます。そして広がるのが棚田と曼珠沙華です。あちらこちらでアマチュアカメラマンが三脚などを持ちながら歩き、思い思いの場所で写真を撮っています。きっとそんなカメラマンたちの中に常識がない人がいたのでしょう。棚田の水田はすべて人が立ち入れないように細いロープが張ってありました。曼珠沙華と水田の写真撮影に夢中になってしまうのか、あぜ道などを壊されてしまうようなこともあったようだと、あるブログに書かれていました。自分もカメラが好きですから、自分で思い描いたような写真を撮りたいとは思います。ただ、そのために人への迷惑を顧みず勝手に行動することだけは避けたいと常日頃気を付けているつもりです。ほとんどすべての水田に貼られているロープを見ていて、少しさみしい気持ちになってしまいました。

曼珠沙華ですが、赤だけではなく白や黄色もあるようです。曼珠沙華といえば赤、と思っていましたので驚きでした。曼珠沙華の別名は彼岸花。彼岸花という響きはあまり好きではないので、敢えて曼珠沙華と呼んでいます。

初めてみた白い曼珠沙華

案山子ロードを戻り、さらに進んで飛鳥の飛び石と呼ばれる場所に行ってみました。小さな川に、その川を渡れるように石が6個ほど並んでいるのですが、昔の人が置いたのでしょうか。集落の間を降りて行ったところにありました。詳しい歴史的な背景がわからないのですが、なんとなく風情のある場所ではありました。

飛鳥の飛び石

帰り道、案山子ロードの近くを通りかかったとき、どこかのテレビ局の取材が入っていたようで、浅野温子さん(たぶん)の姿を見かけました。あと一人男性の方もいらっしゃったのですが、顔はわかるのですが名前が出てきません。 誰だったっけ・・・。




2015年9月24日木曜日

玄奘さん ~龍谷ミュージアム 京都~

広隆寺の次に、京都に寄った目的の龍谷ミュージアムを訪れてきました。

最初は特に行くつもりはなかったのですが、薬師寺に関わりがあることを知って、これは行ってみる価値があるかも、と思ったのです。もともと仏像やお寺のお堂などに興味があり、仏教の経典や開祖にはあまり興味がありませんでした。ただ、三蔵法師のモデルといわれる玄奘さんについては知っておいてもいいのでは、と思ったのです。

バスを乗り継いで西本願寺の真向かいにある龍谷ミュージアムへ向かいました。到着してチケットを買っていると、5分後から薬師寺の僧侶による法話が始まるというアナウンスが入りました。これは聞かない手はありません。すぐに、講義室へ向かいました。

今回の法話者は、以前薬師寺で修学旅行生に向かって話をしていたのを聞かせてもらった加藤僧侶でした。向こうは当たり前ですが私のことを知るわけはありませんが、勝手に親しみを覚えてしまいます。

玄奘さんの企画展ということで、玄奘さんについての話から、人生についての話をしてくれました。お経を読む、お経を写すということはどういうことなのか、功徳を積むとはどういうことなのか、などをわかりやすく加藤僧侶なりの考えを交えて話してくれました。もちろん、薬師寺の僧侶らしく、途中で笑いを交えます。淀みなく話を進めていきますから、改めて彼らのトーク術のレベルの高さに感心してしまいます。話の内容よりそちらの方を感心させられたかもしれません。

加藤僧侶曰く、写経は心を落ち着けて自分のことを振り返る時間なのだそうです。そうして自分の内面を見つめ、これからどうあるべきかを静かに考える時間なのだと。だからぜひ薬師寺の写経をやってみて欲しい、とさらりと薬師寺の写経の宣伝もしていました。個人的に写経は宗教の違いもあって躊躇するところがあるのですが、心をしずめて自分を振り返る時間の大切さという意味ではとても納得するところがあります。宗教が異なるとはいえ、お寺を訪問したり、仏像を拝観させていただきながら、ボーっと過ごしている時間が、自分にとっては自分を振り返る大事な時間なように思うからです。

法話のあと、展示品を見学しました。玄奘さんの性格や生涯、そして働きなどがわかりやすく解説されていて、思っていた以上に楽しめました。玄奘さんは「真面目でストイック」なのだそうです。3万キロを歩いた人でもありますから、孫悟空の映画に出てくるような華奢な人ではなく、もっと力強い人だったに違いない、と加藤僧侶も言っていました。それにしても莫大な量の仏典を中国に持ち帰り、そしてそれらを翻訳するという神技を成し遂げた人です。神格化されるのもわかる気がします。ただ、個人的に、この世の人を神格化して拝むことはどうもしっくりこないというか、納得できない部分があるので、お寺などで上人の像があっても、あまりじっくり鑑賞することがありません。その人の業績が確かに素晴らしいもので、賞賛に値することはまったく否定しませんが、その人を拝む・信仰することには違和感を感じてしまうのです。

見学後は、ミュージアムのカフェで昼食をとったあと、奈良へ向かいました。



2015年9月23日水曜日

弥勒菩薩半跏思惟像 ~広隆寺 京都~

シルバーウィークに家にいるわけはありませんね。もちろん、家を飛び出しました。そして行き先は奈良です。ただ、京都の龍谷ミュージアムに寄りたかったので、朝の時間を利用して久しぶりに広隆寺へ行ってみることにしました。

広隆寺と言えば、国宝第一号の弥勒菩薩半跏思惟像で有名ですが、以前訪れたときに頂いた御朱印がスタンプだったので、あまり良い印象がなかったのです。ですが、やはり国宝第一号はもう一度見ておきたいな、思ったのでした。

バスの1日乗車券を500円で購入して、広隆寺へ向かう京都バスを待ちます。バスに揺られること30分ほどで広隆寺に到着しました。

境内は割合と広いのですが、ほとんどの仏像は新霊宝殿にあるために、本堂などは訪れる人がほとんどいないようで、皆さんすぐに霊宝殿へ向かいます。私もまっすぐ霊宝殿へ向かってしまいました。

照明をほとんど落とした状況の霊宝殿なので、目が暗さに慣れるまで少し時間がかかります。まず並んでいるのは十二神将です。やはり十二神将好きとしては時間をかけて見てしまいます。ただ、ここの十二神将は干支とのつながりはないようで、また違った魅力を持つ神将たちです。

そして弥勒菩薩半跏思惟像です。見たとき、あれ?と思ってしまいました。プロポーションがあまり良くないのです。胴体のサイズに比べて頭のサイズが大きいのです。国宝第一号に向かって失礼かと思うのですが、中宮寺の弥勒菩薩半跏思惟像の方が魅力的に思えてしまいました。ところが、国宝第一号の横に座す一回り小さな弥勒菩薩半跏思惟像がとても魅力的に感じてしまったのです。もちろん、これも国宝ですが、表情も身体の感じもいい感じです。

そんなことで、今回も広隆寺は少し不完全燃焼的な感じで終わってしまいました。拝観料は700円となかなかの値段です。悪くはないのですが、また行くかどうかは微妙な感じです。

2015年9月8日火曜日

その他もろもろ

シェムリアップで気になること、コメントしたいことをいくつか挙げてみます。まずは、ブタさん。昔からよく見かける光景ですが、初めて見たときはさすがに驚きました。バイクの後ろにブタを積んでいるって・・・。それもみんな生きたままです。その方が新鮮だからなのですが、写真のバイクには3匹も積まれているのですから驚きです。写真ではわかりませんが、見ているとときどき足をばたつかせています。Nくん曰わく、向かっているのは市場だとか。可哀想ですが、そのブタを美味しく頂いているのも事実。カンボジアに来て、改めて自分は命をもらって生きているんだ、と実感します。

市場へ・・・

トラックの荷台に乗る人たちにも驚かされました。写真は木材を積むトラックの、その木材の上に座る人たちの写真ですが、これはまだ可愛い方です。積載量を完全にオーバーしているであろうトラックの荷物の上に、仁王立ちしている強者もいます。ずいぶん前になりますが、車のボンネットに座っている人を見たこともあります。もちろん走っている車のです。いつも写真を撮りたいと思っているのですが、見かけるのがいつも車の中からなのでなかなか撮るチャンスがないのです。毎回カンボジアを訪れるたびに、すごいなぁ・・・、ありえないなぁ・・・、と思いながら、見てしまいます。

事故に遭ったらどうすのだろう・・・。
歩行者よりも車が優先のカンボジア。歩道があるにも関わらず、その歩道を歩けないこともよくあることです。まず、レストランのテーブルやいすが歩道まではみ出していることもあります。そして、写真のような車の駐車の仕方です。なぜここまで歩道に乗り上げるのかというと、車を木陰に駐車したいからです。南国の日差しは強烈です。いくら慣れているとはいえ、なるべく車は日陰に駐車したいものだということはわかります。が・・・、ここまで歩道を占拠されてしまうと、歩くことすらできないときもあります。ぎりぎり歩けるスペースがあるときもありますが、ひどいときはまったく歩道を歩けず、歩行者が車道を歩かざるをえなくなることもあります。車の方が人間より価値が上ということでしょうか・・・。
まだスペースがある方です
建設中の工事現場で見かけた広告です。「日本ペイント」と書かれていますので、日本製なのかもしれませんが、なぜ力士???です。他にもwifiの広告にも力士が使われているのも見たことがあります。そういえば、カンボジアで有名な味の素の広告は富士山や芸者でした。日本というと、相撲、というイメージなのか、力士は力強い=このペイントも簡単に剥げない、というメッセージを込めているのでしょうか。初めて見たときは苦笑してしまいました。
確かに日本ですが・・・

昨年から増えてきたジューススタンドです。カンボジアで面白いのは、人気があるとわかった瞬間、同じ店が一気に増えることです。数年前にはフィッシュマッサージなるものが出現し、瞬く間に広がりました。どこを見てもフィッシュマッサージ、といった感じになったものです。そしてこのジューススタンドとパンケーキのスタンドが昨年から一気に増えました。本当に突然です。2年前にはまったくなかった光景です。それが一気にオールドマーケットの周辺に現れました。どのスタンドも同じ内容で同じ値段なので、観光客からすればどのジューススタンドに行っても同じなのですが、こんなに同じスタンドが乱立していて儲かるのかしら、と疑問にも思ってしまいます。

ジューススタンド
シェムリアップで観光客に人気のパブストリートです。私は逆に苦手です。ここ数年は足を踏み入れることすらほとんどしません。名の通り、夜遅くまで外国人観光客でにぎわう場所でもあります。年末年始の大晦日には、カウントダウンまで行われ、相当にぎやかになるそうです。私は行ったことがないので、全く分かりませんが・・・。私にはただうるさいだけの場所なので、これからも関係することはまずないでしょうが、一応シェムリアップの人気スポットということで。

パブストリートの入り口

シジミ売りのスタンドです。カンボジア人はスナックとして食べるらしく、様々な場所でよく見かけますし、よく買っている姿を見かけます。貝を塩や唐辛子で和えたもののようですが、衛生的な面と貝はあたりやすい、ということもあり、食べたことはありません。銀色の缶を1スクープとしてビニール袋に入れて売っています。一袋1000リエル(30円くらい)のようですので、ちょっとしたスナックとして子どもたちにも人気のようです。

シジミ売りのスタンド

ランブータン売りのスタンドです。こういった果物を売っているスタンドもよく見かけます。他にもオレンジやドリアン、パイナップル、バナナなど様々なスタンドがあります。そして、いつどこで現れるのかわからないこともあるので、気に入ったスタンドがあったとしても、次に行ったときにはいない、ということも良くあります。昔よく買いに行っていたカンボジアの揚げ菓子やワッフルを売っていたスタンドは、ここ数年見かけなくなってしまいました。もしかしたら、上記のジューススタンドに鞍替えしてしまったのかもしれません。美味しくて気に入っていたので残念です・・・。

ランブータン売り
オールドマーケットの一角です。オールドマーケットの店もここ数年で相当変化してきました。このような売り方をする店が増えたのもここ数年のことです。完全に観光客相手の店です。カンボジア珈琲、塩、調味料、ドライフルーツなどがビニールに入って売られています。正直、このような店の商品はあまり信頼していません。コーヒーは匂いが抜けてしまっていますし、できれば地元の人たちが買うようなところで買った方が、品は良いと思います。


乾物屋さん。こちらもオールドマーケットの一角ですが、こちらは昔からある店で、地元の人たちが買うような店です。様々な干し魚を扱っていますが、基本的には淡水魚が多いようです。知人の家で頂いた、スイカと一緒に食べる干し魚らしきものもありました。なかなか食べる機会のない干し魚ですが、美味しそうです。

昔ながらのオールドマーケット
自転車でココナッツを売りに来ます
中が真っ赤なドラゴンフルーツ
毒々しいですが美味