2015年8月24日月曜日

夜の帳が開ける頃 〜アンコールワット〜

久しぶりにアンコールワットで朝日を見に行ってきました。八月下旬の日のでは5時50分頃とのことで、ホテルを5時に出発です。ということは、起床は4時半前。いつも早く寝てしまう私でも4時半というのはなかなか早い時間です。もちろん、迎えにきてくれるNくんはもっと大変ですが。

アンコールワットへ続く道は、すでに朝日を見に行く観光客を乗せた車やトゥクトゥクがたくさん走っています。チケットブースで一日券を20ドルで購入し、アンコールワットへ向かいました。真っ暗だった空がうっすらと明るさを増してきて、目を凝らすとアンコールワットのシルエットが見えるような時間帯です。Nくんは車で待っているとのことだったので、車から降りて一人でアンコールワットへ向かいました。

多くの観光客とガイドが照らす懐中電灯のおかげで、足元が見えなくなるということがないので助かります。西塔門をくぐると、視界が開け、アンコールワット全体の姿を臨むことができます。この瞬間はいつ来ても感動します。もう何度も訪れているアンコールワットですが、やはり素晴らしい建築物だと改めて思いました。

西塔門の回廊の壁面にずらりと居並ぶアプサラたちと一緒に朝日を待つことにしました。西塔門の南側にお気に入りの二人のアプサラがいるのですが、その目の前に腰掛けます。私が座った後すぐに両側が埋まってしまったので、早めに来て正解でした。ほとんどの観光客は、西塔門からさらにアンコールワット近くまで行き、北側にある池の前で朝日を待ちます。定番のスポットですし、池に映るアンコールワットも素晴らしいのですが、なにせ人だらけになってしまうので、最近は西塔門で見ることが多くなっています。

5時半頃に定位置に座ったのですが、まだまだ辺りは真っ暗です。太陽が上がってくるアンコールワットの方角だけ、うっすらと明るくなってきています。私の後ろにはお気に入りのアプサラが二人の、肩を並べて立っています。アプサラは二体として同じ顔を持つものがありませんから、それぞれ異なった顔立ち、表情をしているので、人によって好みも分かれるところでしょう。私が好きなアプサラは、ここ西塔門の南側に立っているのです。彼女たちはここで1000年近くも立ち続け、何万回もの日の出を見続けています。アンコールワットが人々の記憶から薄れていた時期も、ずっとここで微笑んでいたのです。何を思い、何を考えるのか、聞けるものなら聞いてみたい。ここに来るたびに思うことです。

白々と夜が明けてきます。アンコールワットのシルエットは本当に魅力的です。なぜこのような美しくて魅力的な建造物を建設することができたのか。適当になんかもちろん作れるわけがありません。測量技術はもちろん、設計から建築まで、その時代の智を結集して作ったのでしょう。そしてそれを指揮した王、スーリヤヴァルマンII世。どのような気性を持つ王なのか知る由もありませんが、アンコールワットを建設した、というだけで妄想が膨らんでしまいます。

最初は群青色の空です。それがどんどん明るくなり、太陽が昇る直前に雲は赤く染まり、そして太陽が顔を出して眩しい光を辺りに投げかけ始めます。今回思ったのは、群青色のときが一番神秘的かもしれない、ということです。雲が赤く染まるのも十分素敵なのですが、見終わってから思い返したとき、あの夜の帳が開けて行く群青色の空がとても強く印象に残っていました。


一番好きな色合い

アンコールワットの周りにはいい感じの雲も出ていて、その雲が赤く染まるのも十分綺麗です。今までの経験から、もう少し赤くなるかな、と変に待つと、急激に色を失って行くこともあるので、気をつける必要があります。それに、よく絵葉書や写真集で見るような色鮮やかな赤、というのは、一介の観光客が遭遇するには余程の幸運に恵まれているかしか考えられないこともわかっています。あのような写真を撮るためには、何日も通う必要があるでしょうし、最近はデジタル写真ということもあり、色の補正も相当加わっていることがわかっているからです。最初の頃は、あんな色鮮やかな赤色に染まる写真を撮りたい!と思っていましたが、最近はそのときの色で空は十分美しい、と思えるようになってきました。こんな写真が撮りたい、と思うことは大事ですが、この色の写真を撮りたい、とするのは自然に対して失礼かも、と思うようになってきたからかもしれません。


少しぶれました・・・
一瞬染まる雲
太陽が顔を出し始めました

大好きなアンコールワットです。人が多くても、周りがうるさくても、アンコールワットの魅力を失わせるものはありません。今回、中には入りませんでしたが、太陽が昇ったあと一応池のほとりまで行ってみました。ものすごい人です。ずいぶん帰って行ったあとにもかかわらず、人でごった返していました。池のほとりはまだまだ多くの人々で埋め尽くされていて、池に映るアンコールワットはちらりとしか見ることができませんでした。すごかった・・・。

このあとは、そのままバイヨンへ向かいます。

一番のお気に入り 一緒に朝日を眺めました
朝日が当たると金色に

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