2015年8月15日土曜日

Plae Pakaa プラエ・パカア① 〜踊り編〜

プラエ・パカアを初めて見たのはちょうど一年前でした。国立博物館の裏手に小さなシアターが建てられ、今の時期のようなローシーズンには週末に2種類の演目が披露されていました。昨年鑑賞したのはアプサラダンスに代表される舞踊とカンボジア式オペラまたはミュージカルという劇でした。今回、プノンペンに到着するまで忘れていたのですが、国立博物館の前を通って思い出しました。また、運良くプノンペンにいたのが週末だったのです。

今回、ミュージカルの日程とは合わなかったのですが、舞踊とスバエク・トムを鑑賞することができました。スバエク・トムについては次の記事で紹介します。まずは舞踊です。

午後6時45分開場、7時開演です。値段は1人15ドル。午前中にチケットを購入すると12ドルとなるのだそうですが、1時間ほどのショーですから、カンボジアにしては高めです。もちろんカンボジア人用料金と観光客用料金が設定されていますが、それでもそんなに安くはないはずです。

ローシーズンということもあり、それほど多い人出ではないだろうと思っていたのですが、国立博物館の前にはなんと大型バスが横付けされているではありませんか。そしてそこから若い男女がぞろぞろと降りてきます。皆同じベストを着用し、ユース・ボランティア・コリアと書かれていたので、韓国からのボランティア団体なのでしょう。運良く彼らよりも先にシアター内に入ることができ、一番前のベンチに座ることができました。シアターといっても吹き抜けの建物で、外からの音は筒抜けですし、反対にここで演奏される音も周りに筒抜けです。ベンチも木製ですので長い時間座っているとお尻が痛くなってきます。昨年はクッションのレンタルアピールがされていましたが、今年はなくなっているところをみると、あまり利用者がいなかったのかもしれません。

午後7時にきちんとスタートしました。まずはこのようなダンスを行う前に、すべてが無事に執り行われるように祈る儀式の風景から始まります。昨年と少し演出が変わっていたところもあり、なかなか興味深かったです。こういうアジア独特の祈りの捧げ方やダンスを見ていていつも考えてしまうのは、欧米人の目にはどのように映っているのか、ということです。あまりに文化が違いすぎるので、本質を理解するのは難しいのではないか、と思ってしまうからです。文化的な背景がわからないと、理解するのが難しいだろうなあ、と余計なお世話的なことも考えてしまいました。

演目のダンスの内容はシェムリアップで見る内容とほとんど変わりません。フィッシャーマン・ダンス、ココナッツ・ダンス、アプサラ・ダンスはどこでも鑑賞することができる演目です。ただし、ここプラエ・パカアが違うのは、演者の質の高さです。シェムリアップのショーはすべてが食事とセットになっています。そのためか、観客も食事を楽しむのか演技を楽しむのか曖昧になっているような気がするのです。食事よりも演技を楽しみたい私にとっては観客たちのおしゃべりも気になります。また、毎年のように鑑賞しているためか、演者への見る目も厳しくなっているのかもしれません。昨年のプラエ・パカアの記事にも書きましたが、今回もプラエ・パカアの演者の質の高さに感動して帰ってきました。

まずアプサラに代表される舞踊です。手の動きがとてもしなやかです。アプサラの特徴的な表現方法の一つに手の動きがあります。とにかく手の反り方が尋常ではありません。普通に生活しているのであれば、絶対にこのような手の反り方はできるようになりません。小さい頃から手を反らせるストレッチを何度も行うことで、あのような手の反り方ができるようになるのです。初めて見た時は正直少しきもち悪くも感じていました。あまりにも人間離れしているからです。実際、神に捧げる踊りとして人とは異なる動きが必要だったため、あのような手の反りや、腕、足の動きになったとも聞いたことがあります。それが今では、アプサラの踊りを鑑賞する時はまず彼女たちの手を見るようになってしまいました。反りが綺麗な女性ほど魅力的だというアプサラの美的センスをそのまま受け継いでしまった感じです。プラエ・パカアでは女性たちは皆、綺麗な反りができる手を持っていました。

アプサラの舞
手の動きがとてもしなやか
今回さらに感動したのは男性が演じる猿の動きです。よくできています。本当によく猿の動きを真似ていますし、猿の動きの特徴をよくつかんでいます。手の動き、足の運び方、体を掻く仕草、一つ一つが丁寧に描写されていて、それを見ているだけで感心してしまっていました。シェムリアップでの猿は子どもたちが演じることが多いように感じます。ですので、上手だなあ、というより、可愛いなあ、という感想でした。ところが、ここプラエ・パカアではシェムリアップのような子どもたちの演者はいません。全員成人です。だからこそ、洗練された動きの演技ができるのでしょう。食事というプラスαもなく、演技一本勝負ですから。本当はこうであるべきだとは思うのですが、伝統芸能がアトラクション的な位置にあるシェムリアップでは、伝統芸能だけで勝負するだけの勇気がないということなのでしょうか。個人的には、このプラエ・パカアのような団体が活躍できる場所がもっと増え、このような団体が増えることを願います。

漁師の踊り
クジャクの舞
リアム・ケーの一場面 人魚と猿

内容は1時間ですが、演目の種類は多いです。孔雀の踊りやクロマーの踊り、さらにはラタナキリ地方の踊りなどもあり、なかなか見応えがありました。韓国からの団体も入ったわりには席に余裕がありましたが、ハイシーズンには満席になることもあるようです。週末にしか上演しないのでうまく曜日が合えばラッキーでしょう。来年ももし機会があれば見にきたいと思わせる上演でした。次はスバエク・トムについてです。


庶民の踊り(?)
ユーモラスを交えて

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