2015年11月23日月曜日

室生寺三昧と紅葉 その③ 2日目ライトアップ

2日目は夕方に室生寺へ向かいました。室生口大野のを15時25分発のバスに乗り込み、今日も室生寺へ向かいます。

中途半端な時間でしたが、室生寺の太鼓橋の手前にある橋本屋で遅い昼食兼早い夕食を頂きました。初めて山菜そばを頂いたのですが、そばが柔らかめだったので、私の好みからは残念ながら外れてしまいました。ただ、ここのとろろ汁は個人的にとても気に入っているので、単品で注文してしまいました。体の内側から暖まるので、この時期にはとてもいい感じです。

ライトアップにはまだ早いので金堂へまずは向かってみると、網代僧侶と職員の方がちょうどライトアップの準備をしているところでした。すでに小雨がぱらついているあいにくの天気でしたが、灯籠にはろうそくの火を灯すようです。職員の方も顔を覚えて下さっていて、昨日も来てましたよね、と。これだけ足蹴く通う人も珍しいでしょうから。

ライトアップ前 暗すぎる・・・

16時半には五重塔の階段下にスタンバイしました。雨足はそれほど強くなく、時折止んだりもするのですが、一眼レフを持つ身には少し厳しいものがあります。だからと言って止めるつもりもないのですが。

17時前に突然ライトがパッと点灯しました。あれ、鐘の音が合図ではなかったっけ?と思ったのですが、どうしたのでしょうか。ただ、階段ではまだ職員の方が最後の履き掃除をされていて、ライトが点灯したとき、あれっ?という仕草をしていたので、やはり早すぎたのかもしれません。途中で仕事を止めるわけにはいきませんから、職員の方もガシガシと急いで掃いています。もしかして堀本さんかも、と思ってみていたところ、確かに堀本さんだったのですが、あっという間にいなくなってしまったので、声をかけそびれてしまいました。

再度、昇る龍 手前は湖を表しているのだとか

雨が降っているという条件下でも、がんばってシャッターを押してきました。三脚は重いので持ち歩きません。ですから、石塔や柵などを利用してカメラを固定しながらがんばってシャッターを切ります。出来不出来は現像してからのお楽しみです。

昨日が遅かったこともありますし、雨のためベンチに座って鑑賞することもできず、この日は早めに切り上げることにしました。帰りに仁王門近くの納経所で網代僧侶を見かけたので、今日はこれでお暇します、と伝えると、いい写真は撮れましたか?と聞いてくれました。現像してからのお楽しみですね、と笑うと、今日は人数が少なかったのでは、と聞かれたので、写真は撮りやすかったかもしれないですね、と答えました。明日はどうやら休みを取っているとのことで、お会いできそうにないですが、またの機会があると思うのでそのときを楽しみにしたいと思います。

バスに乗り込み、また奈良の市内に戻ります。これだけ室生寺尽くしにするのだったら、もう少し近いところに宿を取れば良かったかな、と少し思ってしまいました。

入江泰吉 回顧展

2日目の午前中、東大寺を訪れた後、入江泰吉美術館へ行ってきました。この時期、「回顧 入江泰吉の仕事」という特別展示が行われていて絶対に行きたいと思っていました。個人的にとても好きな写真家ですし、あの大和路を優しく見つめ続けてきた人です。遠い存在ではありますが、彼の写真はとても好きなのです。知人にも写真は写真集で見るのもいいけれど、やはり美術館でしっかり見てきた方がいいよ、ともアドバイスを受けていました。そんなこともあり、今回訪れたのです。

開館の9時半と同時に入館しました。最初は文楽の写真だったので素通りに近いことをしてしまいましたが、大和路の写真はすべてじっくりと堪能させてもらいました。白黒もカラーもしっとりとしているというか、落ち着きのある優しい眼差しが感じられます。

特に好きなのがやはり室生寺の写真でしょう。私には撮ることのできない十一面観音立像や釈迦如来坐像を始め、石南花と五重塔や金堂などの写真が目を惹きます。もともとは白黒を主に扱ってきたようですが、時代と共にカラーも扱うようになっていったのだとか。そのときの心境を綴った文章があるのですが、一番記憶に残っているのが、「いかにして色を殺すことができるか」という言葉です。カラー写真なのですから、色を殺すなど逆のように聞こえるのですが、私にはなんとなく感じることがありました。色があるとその色に振り回されてしまう気がしたのです。もっとこんな色ならいいのに、もっと鮮やかだったらいいのに、この色はいらない、などとついつい思ってしまう自分がいます。でも風景を写真に撮るなら尚更、そのままで撮らせてもらうしかないのです。それよりも構図やそこでどう切り取りたいかという自分の想い、そのようなところが大事なのかもしれない、と改めて思わされました。

最後の小さな売店でまたもや衝動買いです。もう一人の大和路の写真家である土門拳と入江泰吉の二人の写真集があったのです。それも、同じ被写体が左右に並べられていて、とても興味深いのです。パラパラとめくっていた中でとても印象的だったのは、室生寺の釈迦如来坐像の横顔です。まったく同じ被写体ですし、同じ構図なのに表情が異なって見えるのです。この瞬間に、これは買うしかない、と思ってしまいました。

この後は、長岳寺へ向かいます。


早朝の東大寺

2日目は朝食をとってすぐに東大寺へ向かいました。入江泰吉美術館の開館が9時半でしたし、奈良公園の紅葉がどのような状況なのか見てみたい気持ちもありました。

広い敷地を持つお寺はあまり得意ではないのですが、東大寺は大きい割には好きなお寺の一つです。ただし、失礼ながら大仏殿には最近まったく行かなくなってしまいました。とにかく人が多すぎるのです。特にこの時期はただでさえ人出が多くなる時期ですから、表参道などあっという間に人で溢れてしまうでしょう。

そんなこともあり、最近よく利用するのが転害門です。東大寺の西側に位置するこの門は、以前にも書いたようにほとんど人がいません。ゴツゴツした木の節が力強さを見せつける様で、なかなか気に入っています。その転害門から入っていくと、大仏殿の裏手に出るのですが、ほとんど人影がなくひっそりとしています。

今回も転害門から入っていったのですが、犬の散歩をしている人が一人、朝のウォーキングをしている年配の女性が二人だけで、あとは全くといってよいほど人に会いませんでした。金堂跡には大きな礎石がずらりと並んでいますが、この時期は特にどこか寂しい雰囲気があります。紅葉はやはり今ひとつでしたが、寂れた感じの雰囲気が逆に心を落ち着かせてくれているようにも感じました。


大仏殿の裏手を抜けていくと、二月堂が見えてきます。やはりまだ、しんとしています。今回はそれほど寒くはなかったのですが、冬の早朝もまたピンと張りつめた寒さがまた良いものだろうなと思います。

二月堂から法華堂へ移動し、いつもの素晴らしい仏像群を拝観してきました。ここも私の好きな場所の一つです。まだまだ時間が早いせいか、訪れる人もほとんどいません。独り占めの状態でゆっくり拝観させてもらいました。

二月堂からの眺め

また、近くにある小さな四月堂にも寄りました。ご本尊は十一面観音立像なのですが、他に普賢菩薩像があります。普賢菩薩は一般的に白い象に乗っているのですが、この象が良いのです。ここの白象も目がたれ目でにへらぁ、と笑っているように見えるのですが、目が顔の前方にあるので、少し攻撃的にも見えます。草食動物の目は一般的に顔の左右についているのですが、この白象は肉食動物のように顔の前方についているのです。可愛いな、と思いながらも少し攻撃的な象でした。

このあと、入江泰吉美術館へ向かったのですが、すでに大仏殿の表参道は多くの人たちが大仏殿を目指して歩いていました。もちろん、鹿たちに鹿せんべいをあげることを忘れてはいません。たまには大仏殿に行くべきかなぁ、と思うこともあるのですが、やはりあの人の多さを見ると心が萎えてしまいます。

2015年11月22日日曜日

稲淵の棚田 ~初冬 明日香~

初日、一旦室生寺をあとにて明日香の稲渕へ向かいました。9月の曼珠沙華の季節に初めて訪れた場所です。日本の棚田百選にも選ばれたというだけあって、山間の斜面に棚田が広がっている場所です。曼珠沙華の季節はやはりなかなかの見応えだったのですが、紅葉の時期ももしかしたらいい感じになるのではないか、と思ったのでした。

橿原神宮前から明日香の周遊バスに乗って石舞台へ向かいます。さすがに日曜日ということもあり、石舞台周辺の広場は親子連れや若い人たちのグループがたくさんいました。年輩者たちのグループもいて、ウォーキングなどに勤しんでいる姿も多く見かけました。

石舞台から歩いて20分ほどのところに稲渕の集落はあります。さすがにこの時期は稲渕まで訪れる人はほとんどいないようで、石舞台を過ぎるとあっという間に人影がなくなります。民家が立ち並ぶ集落を抜け、てくてくと歩いていくと目の前に広がる棚田が見えてきます。

稲渕の棚田

すでに刈り入れは過ぎ、切り株だけが残されているだけですが、それはそれでなかなか素敵な景観です。ススキもまだまだ生えていて、良い構図がないかと探したのですが、これがまたなかなか難しいのです。


曼珠沙華の時期には観光客で賑わっていた案山子ロードにも行ってみましたが、誰もいません。車で来た人たちが道路脇に車を停めて写真を撮っていたりしていましたが、わざわざ案山子ロードまで行く人はいないようです。すでに案山子は撤去されてしまっていましたが、巨大な案山子一体だけは棚田中にドーンと立っていました。

刈り取られた稲が干されている風景も絵になりますし、棚田はやはり優しい風景だとも思います。ただ、やはりというか、紅葉はダメでした。もともと紅葉する木々が少ないのかもしれません。紅葉をバックに棚田が撮れたら最高だなぁ、と思っていましたが、その面では残念な結果になってしまいました。ただ、全体的にはやはり好きな風景ではあります。確かに、鮮やかな艶やかな色合いはありませんが、草木染めに近いような優しい色には染まっています。写真で捉えるのは難しいかもしれませんが、やはりこの自然な色も好きなのです。

どこか懐かしい

そういえば、一つだけ色鮮やかなものがありました。柿です。たわわに実った柿の木が何本か植えられていて、柿の橙色がとても鮮やかでした。

室生寺のライトアップに間に合うために、少し急ぎ足の稲淵の棚田になってしまいましたが、また次は田植え直後の季節に来てみたいと思いました。




室生寺三昧と紅葉 その② 初日ライトアップ

明日香の稲淵で棚田を見てきた後、バスと電車を乗り継いで室生口大野まで戻ってきました。やはり連休の中日ということで、バスにも普段よりずっと多くの人たちが乗っています。

今回は17時20分発のバスに乗ったので、すでに周りは暗くなっています。室生寺まで続く一本道は電灯がほとんどないため、バスのヘッドライトだけが頼りです。普段、光が異常なほどあふれている都会から来ると、この暗闇がさらに濃く見えるのですから不思議なものです。

太鼓橋

室生寺のライトアップはすでに始まっていて、照明以外にも小さな灯籠がたくさん灯されていてとても幻想的な雰囲気に包まれていました。

仁王門前

鎧坂を上って金堂前に来ると、網代僧侶が地元の警備担当の方とお話をされていました。挨拶をすると、「あっ」という顔をして、先ほどはすみませんでした、と謝られてしまいました。先ほどの奥の院でのことなのでしょうが、あれだけの人がいるのですから会話などしていたら逆に失礼になってしまいます。全然問題ないです、と話していたら、警備の方が、案内してきていいですよ、と網代僧侶に言ってくれているではありませんか。すると網代僧侶も、あ、そうですか、と、なんと講堂まで案内してくれることに。なんという贅沢。

講堂や五重塔を見上げることのできる場所で、随分長いこと話や説明をして頂きました。今年、五重塔の前の階段に龍が浮かび上がるという素敵なライトアップがされているのですが、その費用がなんと100万円! えっ、そんなにするの、という驚きと、そんなこと教えてくれてしまっていいの、という焦りが。さらには、これ以上照明が増やされると電力が追いつかずブレーカーが落ちる恐れがあると、電力会社から厳しく注意されているのだとか。だから、ライトアップ中はエアコンも付けられないです、と苦笑していました。そして、このライトアップは基本的に赤字なのだとか。それも言ってしまっていいの?という感じですが、網代僧侶はいたってあっけらかんとしていて気にしない様子。ライトアップ中に最低100人以上来てもらわないとトントンにならないかも、と言っていましたが、少ないときは20人ほどしか来ない日もあるそうです。私からすれば、そんな日に訪れたい、と思うのですが、お寺さんからすれば厳しいものがあるのでしょう。

龍が昇っていきます

鐘の音を合図にライトが点灯されるんです、という言葉で、その鐘を見たことがなかったことに気付きました。そういえばまだ見たことがないです、と伝えると、わざわざその場所まで案内してくれました。金堂から脇道にそれた先にあったのですが、今までまったく気付きませんでした。まあ、立ち入り禁止の看板が立っているのでずっと気づかないままだった可能性もありますが。あれ、ライトが当たっていないですね、と近くまで行って、くるりとライトの向きを変えてしまっていました。勝手に動かしていいんですか?と聞くと、大丈夫でしょう、と笑います。

また、本堂まで戻ってきて、いろいろと話を聞かせてもらいました。多分、一時間以上は付き合って頂いたのではないでしょうか。予定していた6時50分発のバスの時間はあっという間に過ぎてしまいました。お坊さんについてのことなど、普段はなかなか聞く機会のないことまでたくさん話をしてくれるので、とても勉強になります。

本堂にて

それにしても、さすがにこの日は次から次へと人が来るので、なかなか写真を撮るチャンスに恵まれません。網代僧侶との会話を終えた後も、しばらく本堂辺りを陣取っていました。さすがに誰も写らないというのは不可能でしたが、それでと待っていると人の数がふっと減るときがあります。時間に制約がない者の強みかもしれません。

少し早かったのですが、戻ることにしました。山門前に行ってみると、またまた網代僧侶がいます。そしてまたまたいろいろな話に花が咲いてしまいました。ただ、19時50分発のバスを逃すと帰りの手段がなくなってしまうので、それだけは気をつけないといけません。そのことを伝えると、もし乗り遅れたら駅までは送れますよ、とまで言ってくれます。時々、村のおばちゃんたちがそんなことをしてあげているのだそうです。優しい。ただ、そこまで図々しくはなれないので、また明日も来ます、と挨拶をしてお暇しました。

新幹線の始発に乗って室生寺へ向かい、室生寺発のバスの終電で帰る。我ながら、よくやるよ、と苦笑しますが、室生寺はそれだけの価値は十二分にあります。明日もまた楽しみです。


ぶれぶれです・・・
金堂を見下ろす場所で
鎧坂

室生寺三昧と紅葉 その① 初日

連休を利用して、久しぶりに泊まりがけの奈良へ行ってきました。もちろん、紅葉がメインにはなるのですが、今回は毎日室生寺へ行こう、と決めていました。

初日、直接室生寺へ向かいます。室生寺のFacebookや他の紅葉情報から、紅葉は見頃だと聞いてはいました。連休の中日ですし人も多いのだろうな、と覚悟もしていました。京都経由で近鉄に乗り換えて一路室生口大野を目指します。10時頃に到着したのですが、やはり随分な人出でした。

紅葉はというと、残念ながらダメでした。やはり冷え込みの弱さなのでしょう。モミジはなんとなくくしゃっとしていて色もどす黒い赤です。枯れてしまっている葉もたくさん落ちていて、変に温かい気温が続いた中で生殺しにでもあったような痛々しさでした。少しはそれなりにきれいに真っ赤に色づいている木もありましたが、残念ながら少数派です。滋賀もだめ、室生寺もダメ、あとで行くことになる全ての場所が残念な感じでしたから、今年は紅葉の外れ年なのかもしれません。天候に大きく左右されるものですから仕方がありませんし、文句をいうつもりもありません。だって室生寺はあまりにも魅力がありすぎるお寺なのですから。

なんとか赤いモミジと金堂と
紅葉しているのかしていないのか・・・
五重塔の素晴らしさは言わずもがな

まずは奥の院へ向かいました。相変わらずゼーゼーですが、避けられない修行みたいなものでしょうか。たくさんの人がゆっくりゆっくり上っていきます。この日は御影堂の特別開帳も行われているようで、そのためにさらに奥の院へ向かう人が多くなっているようです。

奥の院の納経所には顔見知りの網代僧侶がいました。覚えていてくれて、「やはり、ライトアップは難しいですか?」と聞かれたので、「今日の夜、また来ます。」と伝えると、嬉しそうな顔をしてくれるのが、逆に嬉しいものです。ただ、御朱印書きに忙しそうだったので、会話はそれくらいにしておきました。ちょっと残念でしたが仕方がありません。

奥の院からの眺め
室生の里もすてきです
奥の院のいつもの場所で、少しゆっくりしてから本堂と金堂へ向かいました。この期間は普段は入ることができない金堂の下陣に特別に入ることができます。そのような特別な期間には拝観者にすてきなクリアファイルが、記念品として渡されるのですが、その図柄が変わっていました! 前までは十二神将だったのですが、今回から金堂の素敵な写真に変わっていたのです。嬉しいサプライズです。十二神将ももちろん好きなのですが、すでに3枚頂いていたので、次も同じだったら辞退しようかな、と思っていた矢先だったのです。これは本当にとても嬉しい。

ただ、金堂の中は人でごった返していました。それほど大きくないスペースですから20人も入ればいっぱいになってしまいます。本当は座ってゆっくりしたかったのですが、そんな余裕はまったくありませんでした。明後日の平日にも訪れる予定にしていたので、その日に期待です。

この後は一旦室生寺をあとにして、明日香の稲渕へ向かいます。そして、夜にまたライトアップを見に室生寺に戻ってきます。


本堂

2015年11月19日木曜日

紅葉の湖東三山 ~西明寺~

金剛輪寺のあとは西明寺へ向かいました。11時半に愛のりタクシーに乗り込み、一路西明寺へ向かいます。車で5分ほどです。タクシーだと、本堂近くまで行ってくれるのですが、最近はあえて参道の入口で下ろしてもらい、参道を登って本堂へ行くようにしています。というのも、西明寺の参道は両側に苔むした地面が広がっていてとてもいい感じだからです。

お気に入りの参道

もちろん、参道の両側にはモミジもあります。が、西明寺の紅葉は金剛輪寺よりも厳しい感じでした。やはり一気に紅葉できず、部分的な紅葉の仕方をしている木々が多い感じがします。昨年より良かったのは、不断桜という桜の一種です。こちらは満開に近く、小さな可愛らしい花をたくさん咲かせていました。

三重塔近くのモミジもやはり茶色、黄色、緑色と艶やかさからは遠い感じではありました。残念といえば残念ですが、これも一期一会です。また来年に期待します。

西明寺 本堂

西明寺は時間的なことを考えても人は多かったです。でも、こちらも金剛輪寺ほどではありませんが、少し人が少なくなる時間帯もあり、考えていたよりもゆっくりすることができました。もちろん、本堂内にも入りました。数週間前から、以前は入ることができた後陣に入ることができなくなってしまっていて、私が好きな三尊像を拝観することはできませんでした。それでも、十二神将や四天王は素晴らしいです。観光客が多いので、説明をしてくれるおじさんの力も入ります。今回、後陣へ入れないだけでなく、秘仏の薬師如来の左右を固める日光菩薩もいませんでした。どうやら京都へ修復のための出張中で、二年ほどかかるのだそうです。日光菩薩が戻ってきたら、今度は月光菩薩も修復のために出張されるそうで、2躰がまたそろうのは四年後なのだそうです。片割れがいないのは寂しいですが、また四年後を楽しみにしたいと思います。

この代わりなのか、今まで拝観したことのない刀八毘沙門天像が開帳されていました。50センチほどの仏像ですが、十本の腕を持ち、そのうちの八本の手に刀を持つという珍しい姿なのだそうです。まだまだ仏像には詳しくないのですが、確かに刀を八本も持つ毘沙門天は初めてお目にかかりました。

外に出てベンチに座り、周りをぼーっと見ていました。金剛輪寺の三重塔は高台の上にあるので距離をとっても下から見上げる形になってしまいます。でも、西明寺の三重塔は全体像をいい感じの距離から眺めることができます。そして今回、西明寺の三重塔はなかなか優美な形をしているなぁ、としげしげと眺めてしまいました。普段は五重塔ばかりをメインに見てしまうのですが、西明寺の三重塔はすっきりとしていてとても均整のとれた塔だと改めて感じました。

たくさんの人が・・・
でも紅葉は今一つ・・・
それでも、少し遠目から見るといい感じにはなります
三重塔近くまで行ってみると、見覚えのある係りの方が三重塔内部の拝観のために立っていました。向こうも覚えていてくれているような感じはしましたが、どうでしょうか。

紅葉は今一つですが、やはり西明寺の好きなお寺の一つに挙げられると思います。そして、個人的に好きなのは新緑の季節です。紅葉のように色鮮やかな感じではありませんが、とにかく人がいなくて静か。そして太陽が出ていれば、キラキラと輝く青緑の新緑がとてもまぶしく、十分見る価値があると思っています。そして、もちろんお寺全体の佇まいと安置されている仏像が素晴らしい。ただ、以前までは後陣に入ることができたのですが、今回からは入ることができなくなってしまっていました。後陣には個人的に気に入っている釈迦三尊像があったので、お目にかかることができなくなってしまったのがとても残念です。いつかまた公開してくれるのでしょうか・・・。

この後は、また愛のりタクシーで駅に向かい、あとはまた東京に向かいます。あっという間の一日でしたが、来た甲斐はありました。

西明寺不断桜

2015年11月17日火曜日

紅葉の湖東三山 ~金剛輪寺~

今年の湖東三山は日帰りです。三山といっても、今回は時間の都合で金剛輪寺と西明寺のみです。天気は残念ながら曇天。昨年の湖東三山では日差しの中での紅葉があまりにもインパクトがあったので、今回もそれを期待してしまいましたが、今回は曇天の紅葉です。もちろん、どんな天気でも楽しもうと思っていますが。

9時前に近江鉄道の豊郷駅から愛のりタクシーを利用して金剛輪寺へ向かいます。9時過ぎに金剛輪寺には到着したのですが、人がほとんどおらず逆にびっくりしてしまいました。本堂へ向かう上りの参道もまだまだひっそりしています。ずらりと並ぶ小さなお地蔵さんたちは、一人でいると少し不気味な感じがしないでもないのですが、周りに人の気配があるとそれほど怖い感じはしません。
最後の階段を登りきり本堂に到着です。紅葉はまだ少し早い感じもしますが、それでも緑、黄色、そして赤のグラデーションが素晴らしいです。ただ、紅葉をし始めた部分、紅葉した部分、そしてすでに茶色く変色してしまった部分が混在する木が多いように感じました。一気に紅葉できず時間がかかりすぎてしまったためなのでしょうか。朝晩の冷え込みが弱いからなのかもしれません。さすがに昨年のような目を奪われる艶やかさはありませんでした。

それでも十分素晴らしいとは思います。昨年のことがなければ、今年の紅葉も十分素晴らしいと感じていたと思います。

もちろん、本堂内の仏像も拝観してきました。ここのご本尊は聖観音菩薩ですが秘仏です。一度だけ、特別開帳で拝観が叶いましたが、今度はいつになるかわかりません。もしかしたら、もう拝観できるチャンスはないかもしれません。

そんなことを思っていると、外が少しずつ騒がしくなってきました。ひょいと外を見てみると、ぞろぞろと人々が入ってきます。いよいよ団体客のお出ましです。あっという間に境内は多くの観光客でいっぱいになってしまいました。平日ですから休日に比べれば少ないのでしょうが、先ほどの静けさが嘘のようです。

それでも、ベンチに座ってぼーっとしていると、時々団体客の波の合間になるのか、ふっと人が少なくなり静かになるときがあります。そんな時を狙って写真を撮ったりしていました。

次はやはり愛のりタクシーで西明寺へ向かいます。少し早目に降りてしまったので、近くの売店でぜんざいを注文すると、なんと「これおまけね」と何やらてんぷらのようなものを持ってきてくれました。最初はお芋のてんぷらかしら、と思って口に運んだのですが、なんと中身はお稲荷さん。お稲荷さんのてんぷらはもちろん初めてです。油揚げにご飯が入ったあのお稲荷さんをてんぷらのようにして揚げているのです。これがまたなかなか美味しい。少しお腹が空いていたこともあって、ぺろりと頂いてしまいました。こんなちょっとした心遣いがあるところが、とてもうれしいですしまた来ようとも思う理由にもなります。

それでは、これから西明寺へ向かいます。
金剛輪寺
紅葉と三重塔
赤が鮮やか!
グラデーションも
説明を追加
艶やか
金剛輪寺の参道

2015年11月15日日曜日

十二神将特別展示 ~東寺~

龍谷ミュージアムの後に東寺へ向かいました。この頃には雨足も随分と強くなってきたのですが、東寺では十二神将の特別展示が行われていて、これは見逃すわけにはいきません。バスで一駅ではありましたが、一日乗車券もありましたし、雨も振っていたということで、バスに乗って東寺まで向かいました。

やはり人は多かったですが、境内も広いですし、いろいろな場所に分散されるのであまり気にはなりません。

紅葉の見頃はもう少し先のようですが、やはり五重塔とのコントラストは素敵です。今回、五重塔の内部拝観も可能だったのですが、以前にも拝観したことがありましたし、それほどたっぷりの時間的余裕がなかったので飛ばしてしまいました。



ぶれてる・・・


雨足が強いです・・・


まずは金堂で薬師三尊像を拝観します。普段はこの薬師如来の台座を囲むように配置されている十二神将が、今回はずされて別の場所で展示されているのです。十二神将が外された台座はやはりすっきりとし過ぎていて違和感があります。ここの薬師如来の表情はわりと好きです。

次に講堂で立体曼陀羅と呼ばれる仏像群を拝観しました。ここでも、普段は入ることができない仏像群の後方へ回ることができるようになっていて、これまたとても興味深かったです。普段は見ることができない仏像の後ろ姿を見ることができるのですから。個人的には帝釈天の乗る象と、明王の乗る水牛(?)のお尻が何とも言えず可愛らしくて気に入ってしまいました。
そしていよいよ十二神将です。

薄暗い灌頂堂の中に入ってすぐ目に飛び込んでくるのは2躰の十二神将でした。一瞬、公開されているのはこの2躰だけなのかと思いましたが、奥にまた別の部屋があり、他のすべての十二神将が公開されていました。普段は金堂の薬師如来の台座のまわりに立っているのであまり近くで見ることができません。今回手を伸ばせば触れるほどの距離で見ることができたのですが、思っていたよりも大きな像でびっくりしました。もちろん表情も豊かですし、今にも動き出しそうな躍動感ある立ち姿です。12躰もあるので、名前はほとんど覚えられていないのですが、自分の干支を守るとされている神将は少しずつ覚えてきました。時代やお寺によって、守る干支がずれていたりするのですが、それはそれで興味深いと思いました。

見学者も多かったように思います。灌頂堂の外には列を作るための柵も用意されていたので、多いときは人数制限もあったのかもしれません。今回はすぐに中に入れましたが、ひっきりなしに拝観者が訪れていました。それだけの価値は十分あります。これだけ近くに見ることができる機会は今後あるのかないのかもわからないのですから。

京都駅まで歩ける距離ではありましたが、疲れがたまっていたこともありバスを利用してしまいました。これで今回の弾丸京都日帰りは終了です。帰りの新幹線の中でも爆睡してしまいました。最近、新幹線に乗った途端寝てしまうので、富士山を見ることがほとんどなくなってしまいました。


雨のモミジもすてきです
これは良かった!