2015年8月20日木曜日

ある一日 その① 〜シェムリアップ〜

外国にいるときに特にやることのない一日があるというは、実は贅沢なことなのだと最近思うようになりました。そんなある日の出来事です。

朝食を一緒に取りに行こうと数年来の友人から誘いがありました。友人といっても私よりずっと若い可愛らしいお姉さんですが、現在はプノンペンの大学に通っていて、今回たまたま数日間だけシェムリアップに戻ってきていたのでした。朝食はノンバンチョクというカンボジアの麺料理を食べに行こうということになりました。シェムリアップから25キロ程離れたところにあるプロダック村がこのノンバンチョクで有名なのですが、なんとそこまでバイクに二人乗りで行くのです。

最初は自分のヘルメットを貸してくれていたのですが、遠くに警察官の姿を発見すると、ごめんね、と言いながらヘルメットをかぶりなおします。カンボジアのバイク事情ですが、基本的に運転手はヘルメットを被らなくてはならないルールにはなっています。ところが、警察官がいないところではまだまだヘルメットを被らない人が多いですし、同乗者は被らなくてもいいので、まだまだ交通事故の死亡率は高いのです。そんなこともあって、親切にヘルメットを貸してくれたのですが、意外と立っている警察官が多かったようです。捕まると、罰金というより警察官への賄賂が必要になり、一回につきだいたい6000リエル〜10000リエルの要求があるそうです。日本円にすると150円〜300円程ですが、賄賂というのが気に入りません。

さて、プロダック村へ行くにはアンコール遺跡群がある場所を通って行く必要があるので、チケットチェックが行われる建物脇を通ることになります。今回は遺跡に行くのです訳ではないので素通りしようとしたところ、道路をチェックしていたお兄さんに止められてしまいました。私が外国人だから遺跡に行くのではないか、と疑われたようです。

(クメール語で)。
(係員)「どこにいくんだ。チケットは?」
(友)「ノンバンチョクを食べに行くの。プロダック村よ。」
(係員)「本当か? 遺跡を見に行くんじゃないのか?」
(友)「遺跡には行かないわよ。」
だいたいの意味がわかったので、私も
「遺跡には行きません。」とクメール語で答えたところ、さすがに驚かれました。
(係員)「本当に遺跡には行かないんだな。」
(私)「遺跡には行きません。ノンバンチョクを食べに行くんです。」
(係員)「ノンバンチョクは食べられるのか?」
(私)「食べられます。美味しいです。」
(係員)「オイシイネ。」
突然の日本語ですから笑ってしまいました。係員も基本的には笑顔でしたので、問題になるとは思いませんでしたが、最後にまた「遺跡には入るなよ。」と念押しされてしまいました。

このあとは順調にプロダック村へまっしぐらです。正直にいうと、バイクでこれだけ遠出をするのは不安でもあります。最初のころは気持ちがいいなあ、などと思っていましたが、カンボジアに通う中で交通事故の現場をすでに三回も見てしまっているので、気持ちがいいなんて言っていられなくなったのです。ただ、この友人はとっても安全運転をしてくれるので助かります。スピードも出しませんし、無理な運転もしません。みんながこのような運転をしてくれれば、カンボジアの交通事故も減ると思うのですが・・・。

シェムリアップから45分程でプロダック村に到着しました。ここにはノンバンチョクを提供する食堂が四軒ほど並んでいて、その中の一軒の前でバイクを降りました。流石に45分もバイクに座りっぱなしというのは慣れていないこともあり、体が少々硬くなっていました。

さっそくノンバンチョクを注文します。もう何度も来たことのある場所なので、さっそく頂きます。米粉から作られた麺の上にココナッツミルクをベースにしたような緑色のスープをかけ、バナナの花や蓮の茎をスライスしたものを乗せ、それらを混ぜ合わせて食べます。これがまた美味しいのです。友人はさらに、テーブルの上に用意されている山盛りの草(?)から、好きなものを選んでちぎり入れます。さらに、ピーナッツが入った甘めのタレ、唐辛子の入った辛い調味料、そしてライムをひとつまみ、と甘くしたいのか辛くしたいのか酸っぱくしたいのかわからにほどにたくさんの調味料を入れてかき混ぜていました。多くのカンボジア人はこんな感じです。様々な調味料をごちゃまぜにして食べるのが好きなようです。彼女曰く、プノンペンではベトナム人も多く、
ベトナム料理とカンボジア料理が混ざってしまい、オリジナルのカンボジア料理がなかなか食べられない、のだとか。このノンバンチョクもシェムリアップに帰ってくると食べたくなる味なのだそうです。

美味なノンバンチョク
彼女は野菜たっぷり
私たちが話している間にも、家族やグループが来てはノンバンチョクを食べて行きます。そんなときに見てしまったのです。カンボジアの食器事情を。

グループが食べ終わり、出て行ったあとのことです。店のお姉さんが食器を片付け始めました。お皿やお箸、フォーク、スプーンなどは台所へ持って行くのですが、なぜかプラスチック製のコップはテーブルの上にあるコップ入れの中にしまっているのです。最初は使われなかったコップを戻しているのかと思ったのですが、なんとテーブルの上にあるコップすべてを中身だけ地面に捨てて、コップ入れの中に入れてしまったのです。嘘でしょ、としばし唖然。だって別のコップ入れだったとは言え、私もそのコップを使ってお茶を飲んでいたわけです。まさか洗っていないとは。中に入るのはお茶や水であったとしてみ、誰かが使ったコップを洗いもせずにまた再利用しているとはさすがに考えもしませんでした。カンボジア、恐るべし、です。

またバイクに乗ってシェムリアップへ戻ってきました。彼女はこのあとバスに乗ってプノンペンへ戻るのだそうです。

私は機織りの疲れを癒すべく、マッサージへ。そのあとは、市場をぶらつき、カフェでまったりして、ホテルへ戻ってきました。ホテルのバルコニーでこのブログを書いていると、なんと遠くにある入道雲を背景に綺麗な虹が出ていました。大きく色もくっきりしています。先日は稲妻、今日は虹。、まだまだカンボジアから離れられないのかもしれません。



広大なカンボジアの大地と空
バイクが引っ張っています
ホテルから見えた虹

0 件のコメント:

コメントを投稿