2015年12月28日月曜日

機織り 〜クロマーユーユー カンボジア〜


8時にNくんの運転する車に乗り込み工房へ向かいます。車で2、30分ほどのところにあるクロマーユーユーという機織り工房です。

到着してすぐにお世話になるTさんに会うことができました。夏は日本に帰っていてお会いできなかったので、会うのは一年ぶりです。

そして経糸や色を決めてさっそく機織り開始です。今回も何か困ったことがあると、隣で機織りをしている女の子に助けを求めます。ただ、この回数は、自分で言うのもなんですが、ずいぶん減った気がします。特に今回の経糸はあまり切れることがなく、切れても自分で治せることが多かったからです。ただ、ときどきどうしてよいかわからないことが起こるので、そんなのときは声をかけて助けてもらいます。彼女たちも自分の仕事があるので申し訳ないのですが、いつも笑顔で助けてくれるので助かります。

機織りが始まると、機織り以外のことは考えられなくなります。無心ではなく機織りのみ、という状況です。ただ緯糸を通せばいい、打ち込めばいいというだけではないことはすでに重々理解しているので、今回はそれをどうより良くさせていくがが課題でした。

布の耳にあたる部分は、緯糸の引っ張る力の具合で変わってきます。きれいな耳になるか不揃いの耳になるかが決まるのです。でもそれだけに気を取られていると、左右の打ち込む力が微妙に変わり、左右のバランスが悪くなってしまいます。同じように力を入れているはずなのに、なぜか左の方が強くなるようで、気をつけないと右側の打ち込みが甘くなってしまいます。する、ストライプの幅に差異が出てきてしまうわけです。もちろん、一色のときは色の濃淡が変わってきてしまいます。

それでも、以前に比べればずいぶんスムーズに織れるようになったとは思います。一日が終われば、背中、お尻、手などが痛くなってくるのですが、やはり好きなのだなあ、と思います。

今回は一枚のクロマーを織ろうと思っていたのですが、二日目の割と早い時間に一枚が織りあがってしまったので、二枚目にチャレンジすることにしました。もちろん、二日では終わりませんが、あと半日あれば大丈夫だろうと、アンコールワットを見に行った日の午後に再度訪問して織り上げました。

この織り上げて、布を布巻から外すときの高揚感がたまりません。頬がずっと緩みっぱなしなってしまいます。こんなに長いものを織り上げたのだという達成感がすごいのです。この体験をしてしまうと、また織りたくなってしまうのです。

今回もすてきなクロマーが織り上がりました。何度も何度も体験をさせて頂いている工房に本当に感謝です。Tさんや他の女の子たちにもお礼を言って、今回の機織りは終了しました。次は夏ですね。


工房の様子
二枚目開始!
完成!

2015年12月27日日曜日

麗しのアンコール・ワット

カンボジアに来て四日目。アンコールワットへ行ってきました。アンコールワットはもう数えきれないほど訪れていますが、今回も外すわけにはいきません。年末年始は一年の中でも一番観光客が訪れる時期です。どこへ行っても混んでいる状態ですから、一番人気のアンコールワットであれば言わずもがなです。ですから、人が多くいることは承知の上で訪れるのですが、その中でも人があまりいない時間帯を選ぶようにしています。

朝、七時にNくんの車に乗り込みアンコールワット向かいます。チケットブースで一日券を二十ドルで購入します。今回はアンコールワット以外の遺跡を訪れる予定はありません。行きたくない訳ではなくて、人が多すぎるので足が向かないのです。我儘な観光客だと一人苦笑しますが、静かな遺跡を知っているだけにダメです。

アンコールワットの写真を撮るのであれば、午後の時間帯がベストなのですが、そうなると参道は人々で埋め尽くされ、回廊もガイドの声があちこちに響き、静かにゆっくりからは程遠い状態になってしまいます。もちろん、朝早い時間帯も最近は人が多く訪れるようになってしまいました。それでも午後よりはまだいい、というレベルでしょうか。

アンコールワットの表参道にあたる西側からは入らず、あえて東側を選びます。やはり人が少ないのと、午前中であれば東側からの方が順光になって写真が撮りやすいからです。


アンコール・ワットの東側


東側にあるストゥーパ
それにしても、東側からの来訪者も増えました。今まではほとんど誰もいないときの方が多かったのですが、今回は少ないとは言え観光客の姿が見えないときはありませんでした。ただ、ときどき人の流れが止まるときがあるので、ふっと静かになる時があります。私は時間を気にせずいくらでも同じ場所にいることができるので、その静かな時間を待つこともできるわけです。これは一人旅の特権かもしれません。

当のアンコールワットですが、やはりすばらしいです。なぜこれほどまでに惚れてしまったのかわかりませんが、何度見ても飽きることがありません。均整のとれた五つの塔。塔好きだからなのかもしれませんが、アンコールワットは最高です。



スーリヤ(太陽神)

2015年12月25日金曜日

定例のシェムリアップへ


定例のカンボジア訪問です。今回はお正月に奈良へも行くので、カンボジア滞在はいつもよりは短めですが、それでも一週間はいるのですから文句は言えません。

今回の目的はもちろん機織です。年末年始のシェムリアップはものすごい混み方をするので、遺跡はアンコールワットくらいしか訪問する予定はありません。

ベトナム航空を利用したのですが、ホーチミンでまさかのディレイ。それも一時間以上。そしてさらには搭乗口が変更になりました。それだけならたまにあることなので仕方ないとは思うのですが、そのアナウンスがまったくないのです。最初に言われた搭乗口で待ち続けるも、搭乗予定時刻になってもゲートには係り委員が来ません。やっと制服姿のお姉さんが来た、と思ってホッとしながら見ていると、画面には別の便の表示がされてしまいました。周りも少しざわつき始めました。

仕方がないので、いったん搭乗口を離れてインフォメーションデスクへ向かいました。途中で見た出発ゲートを案愛する掲示板にも搭乗口の番号は表示されていません。インフォメーションに座っていたお姉さんに聞いてみると、憮然とした表情でチケットに何かを書き込みました。読み取れなかったので聞くと、ムッとした顔で「十から十二って書いてあるでしょう」と。以前にホーチミンの空港を利用したときに、職員の態度は悪いなあ、と思っていたのですが、今回も変化はないようです。社会主義の国だからなのでしょうか。

ただ、今回は言われた搭乗口に行ってもよくわからないので、客室乗務員と思われるお姉さんに再度声をかけてみると、彼女はとても丁寧に教えてくれました。まだ該当する機体がホーチミンに到着していないために、搭乗口が決まらないのだそうです。もう少し待ってみてください、と言われました。これくらいのトーンで話してくれるといいのですけれどね。別に日本のようなサービスを期待しているわけではないのですから。

聞いてから十分ほどで、画面に新しい登場ゲートが表示されました。まったく異なる搭乗口です。急いで移動しますが、他の乗客たちも同じ状況でバタバタしていました。それにしても搭乗口が変更になったこともアナウンスはなし。遅れることも、変更のこともアナウンスがないというのは驚きです。これが初の海外旅行の人や、個人旅行に慣れていない人は辛いだろうな、と思いました。利用者に優しくない空港です。

さて、シェムリアップです。さすがに暑いです。今年の日本は暖冬ですが、それでも気温はまったく異なります。シェムリアップに到着したときの気温は二十八度でした。

入国し荷物を受け取り外に出ると、なんとそこにはNくんの姿が。事前に、年末はどうしても忙しいのでNくんにお願いするのは難しいです、と言われていたのです。ところが、外に出ると見知ったNくんの姿が目に飛び込んできました。つい頬が緩みます。くるまにのりこみ、いっきにクメール語の世界に入ります。

Nくんの家族もNくんも元気そうで何よりです。それにしても、空港からホテルまでの道もずっと渋滞でした。本当に人が多いのだなあ、と実感してしまいます。

今回もお世話になるのはフランジパニ・ヴィラ。今回初めてネット予約をしてみました。それも奮発してプールビュー。これは大正解。もともと外の光が部屋に差し込まないと嫌な人なので、プールビューの部屋は最高です。それも最上階のプールビューだったので、ベランダに出れば遠くまで見渡せます。空が見える。これが本当に好きです。

さて、明日からはいよいよ機織りです。

プールビュー
フランジパニの外観
部屋からの眺め

朝焼け

2015年12月21日月曜日

羽黒山五重塔 ~山形県鶴岡~

山形県二日目は羽黒山五重塔です。当初、土門拳記念館を訪れるためだけに山形県を訪問しようと思っていたのですが、何かのきっかけで、「そういえば羽黒山って山形県ではなかったっけ」と思い出したのでした。調べてみると行けないわけではなさそうです。ただ、バスの本数は少ないですし、この時期に訪れる人はほとんどいなさそうです。それでも、塔好きの私からすればこのチャンスを逃すわけにはいきません。もともと行きたいとは思っていましたが、不便そうでしたし、なかなか行くチャンスはないかもしれない、と思っていただけに、これはもう行くしかない、と考えたのでした。

とにかく電車とバスの接続は悪いですし、ずいぶん時間をロスする事になりそうでしたが、その辺りは適当に時間をつぶす術を身につけてきていますが、何とかなるだろうとは思っていました。

8時40分頃に鶴岡駅に到着したのですが、バスは9時46分発。近くにあったミスドで時間をつぶします。バスに乗り込み揺られること約50分。随神門というバス停に到着です。五重塔はここから歩いて10分ほどのところにあります。

鳥居そして奥に見えるのが随神門
それにしても誰もいません。バスも途中から私一人になってしまいました。観光シーズンには開いているであろうお店もことごとく閉まっています。でも、人が多いよりはずっといいので、気を取り直して随神門という門に向かいます。

随神門をぐぐると・・・
下りきって振り返ると
羽黒山の五重塔が変わっているのは、神社に属している塔ということでしょうか。今まで見てきた塔はすべてお寺に属しています。ところが、羽黒山は出羽三山の一つであり神社なのです。ですから、随神門もお寺でいうと仁王門のような役割をしているのでしょう。

随神門をくぐると目の前には鬱蒼と茂る杉の巨木が広がります。そして石段です。まずはずっと下っていくのですが、行きが下りということは、当たり前ですが帰りは上りになるわけで、こんな石段が続くなんて書いてあったっけ、と心の中でぼやいてしまいました。

石段を下りきると、そこには小さなお宮が5つほど建っていました。もともと神社が苦手な私ですから、誰もおらず、薄暗く、不気味に見えてしまうお宮が並んでいると、やはり「こわっ・・・」と呟いてしまいます。なぜお寺はいいのに神社がダメなのか自分でもよくわからないのですが、やはりダメです。

歩みを進めていくと、赤い欄干の小さな橋があり、奥には滝も流れ落ちていました。なかなかいい雰囲気なのですが、滝の近くには小さな小さなお宮があり、やはり少し近寄りがたくてそばまで行きませんでした。
滝と石橋

さらに進んでいくと、杉林の奥にちらりと見えてきます。五重塔です。これはいい塔だ、と直感的に思いました。五重塔の手前に爺杉と呼ばれる大きな杉の木があるのですが、その杉と五重塔がとてもいいのです。誰もおらず静かな空間の中に佇む爺杉と五重塔は、それだけで現実離れした雰囲気を持っています。

爺杉と五重塔

五重塔の正面に建ってみました。すらりとした五重塔ですが、とても均整のとれた五重塔だと思いました。彩色はされていないのですが、それがまた渋い雰囲気を作っています。途中、雨がぱらついてきてしまいましたが、近くで屋根を見上げていると、杮葺きの屋根からぽつぽつと落ちる水滴もまたいい感じでした。

思ってたよりも時間を使ってしまいました。HPには随神門から拝観時間は30分ほど、と書いてあったのですが、一時間後のバスまでぎりぎりの時間になってしまいました。本当はもっとゆっくり見ていたかったのですが、このバスを逃すと二時間後になってしまうのでこれはさすがに厳しいです。ですから、もっと見ていたかったのですがバス停に戻ることにしました。

このあとバスに乗って羽黒山の頂上まで行き、神社を拝観してきたのですが、修復中なのか覆いがかぶさっていたり、よくわからないということもあったりと、ほんの10分ほどしか滞在しませんでした。もともと神社は苦手なのです。五重塔を持つ神社だから、と思って訪れたのですが、やはりぴんと来ませんでした。神社には申し訳ないのですが、まだまだ神社は遠い存在です。






羽黒山頂上の神社

2015年12月20日日曜日

土門拳記念館 ~山形県酒田市~

一泊二日で山形県の酒田市を訪れました。先日、入江泰吉の美術館を訪れたときに、入江泰吉と土門拳という大和路を代表する写真家の写真集を購入し、入江泰吉とはまた異なる眼差しを持つ土門拳に興味を持ちました。土門拳が足蹴く通ったお寺の一つが室生寺だというのも重要なポイントかもしれません。

それにしても酒田は遠かったです。東京駅から新潟まで約二時間、さらに新潟から酒田まで羽越線の特急で二時間強。さすがに座っているのがきつくなってきます。特急からは日本海の荒波を間近に見ることができ、これはとても久しぶりのことだったので、ずっと外を眺め続けていました。

日本海
荒々しいです
酒田からは一時間半に一本というるんるんバスに乗ります。40分ほどの待ち時間があったので、土産物屋のイートインコーナーで、だだちゃプリンなるものを食べてみました。枝豆のプリンといえことになるのですが、なかなか美味。だだちゃ豆の香りがふわっとするのですが、なかなかいい感じでした。ただ、それほどしょっちゅう食べたい感じではありませんでした。

るんるんバスに乗ること20分弱。土門拳記念館のバス停に到着します。とても近代的な打ちっぱなしのコンクリートでできた建物ですが、シンプルですっきりとした建物です。

シンプルな外観
土門拳は酒田市の名誉市民第1号でもあるそうです
この時期、「ぼくの好きなもの」と題した展示がされていて、お寺や仏像の写真が大きく引き伸ばされて展示されていました。迫力があります。

土門拳の写真を見ていて思うのは、力強さとでも言うのでしょうか。戦っているなぁ、という思いが湧いてるのです。喧嘩をふっかける、という挑み方ではなくて、自分のすべてをぶつけているんだから、お前もすべてをぶつけてこい、と言われている感じがします。

入江泰吉も土門拳も強さと優しさの両方を兼ね備えていると思うのですが、入江泰吉が優しさの中に秘められた強さ、という印象に対して、土門拳は力強さの中に秘められた優しさ、というイメージでしょうか。写真にも性格が、想いが表れるのだなぁ、と改めて感じました。

大好きな室生寺の写真を始め、奈良や京都の写真、そして見ていて訪れたくなる場所の写真など、多くのインパクトを与えてくれました。特に気になったのが、島根県にある三仏寺と大分県にある臼杵石仏群です。三仏寺は以前から知っていましたが、険しい山を登らなくてはならない場所にあり、難しいかなと思っていた場所です。大分県の臼杵石仏群は初めて知った場所ですが、ここはまた訪れたい場所の一つとしてインプットされました。大分県ですから飛行機でしょうか。

バスの本数が少ないこともあり、結局3時間近く記念館に居座っていました。ずっと写真を見ていたわけではなく、置いてあるソファに座って持ってきていた本を読んだり、流されていたビデオを見たりしながらバスの時間を待っていました。

ビデオで初めて動いている土門拳を見たのですが、やはり戦いの人だなあ、と感じてしまいました。晩年、二度の脳卒中で倒れながらも、車椅子で移動し、不自由になってしまった右手の代わりに左手で筆を取るなど、病気に屈することなく写真を撮り続けた姿には頭が下がります。「戦う」よりも「闘う」方が合っているのかもしれません。

わざわざ山形まで来た甲斐があったな、としみじみ思うことのできる記念館でした。

土門さんという題名らしい

2015年12月6日日曜日

湖北プレミアムツアー

また日帰りでの遠出です。今回は湖北でのプレミアムツアーに参加してきました。普段はツアーが苦手なのですが、今回のツアーには、医王寺が組み込まれており、さらには高月観音の里民族資料館の学芸員が一緒にまわってくれるということで、苦手なツアーに参加してきたのです。

9時半に米原駅前に集合し、小型のバスに乗り込んで出発です。参加人数は25名程度だったてしょうか。まずは高速を経由して高月へ向かい、民族資料館とその隣にある渡岸寺の見学です。

民族資料館は小さな資料館ですが、高月の観音様たちについてわかりやすく説明してくれています。さらに今回は学芸員の方が一緒ですから、さらに詳しい説明を聞くことができました。
小さいながらも見る価値あり

次の渡岸寺ですが、国宝の十一面観音立像があることであまりにも有名で、すでに何回か訪れている場所でもあります。今回は住職の方からの説明があったので、これはなかなか興味深かったです。

十一面観音は基本的に女性的と言われることが多いようなのですが、私はなかなかそのようには思えません。女性らしい観音様もいれば、男性らしい観音様もいます。渡岸寺の十一面観音は女性的、という説明がされていました。腰のひねり具合、正面からは引き締まっているのに、左右から見るとふくよかなお腹周りになっているところなどが理由のようです。確かに女性的でもあると思うのですが、全体が醸し出す雰囲気はどちらかというと男性っぽく見えてしまいます。私の見方がおかしいのでしょうか。

渡岸寺の参道
この下に観音様を埋めて、戦火から守ったのだとか
この後はお昼になります。想古亭という古民家を改造したような場所でした。長浜に昔から伝わる郷土料理ということで、鯖寿司や大豆と琵琶湖でとれる小エビの煮物など、今まで食べたことのないような食事ばかりでした。美味しかったか、問われると少し微妙です。現代の味覚に浸りきっている私の舌にはあまり合いませんでした。残念。琵琶湖産のシジミのお吸い物はとっても美味しかったですが。

不思議な色合いでした

食後に向かったのは弘善館という場所です。以前はすぐ後ろの小高い山にあったお寺なのだそうですが、他の場所と同じように無住であり、なかなか守ることができないということで、集落に収蔵庫を作ったのだそうです。滋賀県に四躰しかないという脱括乾漆という手法を用いた十一面観音立像が、ここに安置されています。

そしていよいよ医王寺です。以前からずっと行きたかった場所でした。ただ、最寄りのバス停から田舎道を30分以上歩く必要があると聞いていて、なかなか難しいかもしれない、と思っていたのです。ですから、今回のツアーで医王寺が組み込まれていることを知ったとき、これは行くしかない、と思っていました。

小型のバスでしたので、予定よりもすぐそばまで行くことができたようです。本当に小さな集落の中にあるお堂ですが、思ったよりも立派なものでした。すでに担当者の方がいらっしゃっていて、全員が揃ったところで、厨子の扉を開けてくれました。
医王寺


すらりとした等身大の十一面観音さまです。とてもすっきりとした凛々しい顔をしていました。ここの十一面観音もどちらかというと男性的に私には見えます。イケメンの十一面観音です。石道寺の村の娘のようなかわいらしい十一面観音のことをふっと思い出しました。なぜか、いい感じのカップルに思えてしまったのです。観音様にカップルも何もないのですが、可愛さを漂わせる石道寺の十一面観音ときりりとした医王寺の十一面観音がいい感じに見えてしまったのかもしれません。

写真撮影は禁止でしたので写真を購入したのですが、残念ながら本物の良さをほとんど写し取れていませんでした。記念に購入させていただきましたが、これだけすてきな観音様なのですから、プロの方に撮ってもらえたらいいのにな、と思います。入江泰吉や土門拳であればどのように写してくれるのだろうか、とついつい考えてしまいます。

医王寺の次に向かったのは己高閣と世代閣ですが、こちらはすでに何回か訪れている場所なので、説明はきちんと聞いていましたが、あまり集中していなかった気がします。実はこの頃から、少し体調が悪くなってきているような気がしたのです。なんとなく熱っぽい感じがして、もしかして風邪の引き始めなのかもしれない、と思ってしまったため、バスの中でもなるべく目をつむっているようにしていました。

己高閣近くのお堂と紅葉
それなりにきれいでした
最後は来現寺だったでしょうか。シークレットということで、普段は一般公開していないお寺なのだそうです。珍しく聖観音でした。地域によって十一面観音が多いところと、聖観音が多いところと分かれるそうで、その地域によって信仰されてきた観音様が違うようでした。なかなか堂々とした観音さまでしたが、この頃には本当に調子が悪くなってきてしまい、あまり集中してみることができなくなってしまいました。

まあ、一番大事な医王寺の観音様を拝観できたということで十分頑張って日帰りした甲斐はありましたが、帰りの新幹線はどこでストップしたのかもわからないほど爆睡してしまっていました。