2014年8月17日日曜日

バンテアイ・トム

カンボジアのシェムリアップにはかれこれ10年以上通っていて、規模の大きい遺跡は制覇したと思っていた。

でもやっぱり甘かった(≧∇≦)b

カンボジア人の先生に案内してもらったバンテアイ・トム。アンコールワットから空港に向かう道の途中で右折し北上する。アンコール・トムを過ぎたあたりで車を停め、車からおりてあぜ道を歩くこと20分。ラテライトの塀が目に飛び込んできた。

想像していた以上に大きい。アンコールワットからこんなに近いのに、いまだに人知れず残っている大きな遺跡があるとは。先生も道が不確かで、近くの村人に案内してもらったのだが、近道だからと農道から外れて田んぼの中もざくざく歩く。田んぼといっても日本とは異なり全く水がない。水がないどころか土が乾いて硬くなっている状況である。これで稲はちゃんと育つのだろうかと心配しつつ、なるべく稲を踏まないように歩く。村人のおじさんはずんずん歩いて行くのだが、こちらは足元を見ていないと稲を踏んでしまいそうなので、どうしてもペースが遅くなる。そんな私たちを途中振り返って確認しながら、おじさんはバンテアイ・トムまで案内してくれた。

バンテアイ・トムの崩れ方はベンメリアに似ているかもしれない。ジャヤヴァルマン七世が建てたらしいのだが、ジャヤヴァルマン七世が建てた他の寺院より、使われている砂岩のサイズが大きい。塀の中に三つの塔が横並びに配置された作りで、配置はロリュオスのプレア・コーにも似ている。

                                               バンテアイ・トムの東参道

                                                   バンテアイ・トムの塔

レリーフもずいぶん残ってはいたが、やはり盗掘のあともずいぶんあった。ジャヤヴァルマン七世が仏教に帰依していたことは有名だし、その後のジャヤヴァルマン八世がヒンドゥー教だったため、寺院に施された多くの仏像のレリーフが削り取られたという話も有名だ。ところが、ここには真新しい傷跡がいくつも残る。古いものは長い年月の中で周りの砂岩と色が同じになっているが、新しいところは変に明るい灰色をしている。アプサラの顔、破風の仏像などが削り取られていて痛々しい。

アンコールワットに近いとはいえ、観光客が頻繁に訪れる場所ではないし、もちろんガイドブックにも載っていない。悲しいけれど、人の目が行き届かないところでは、未だに盗掘が行われているのだ。

周りにあるレンガでできた回廊は綺麗に保存されていた。中を覗くと、隙間からこぼれる太陽の木漏れ日がとても綺麗だ。蛇の抜け殻がたくさんあったり、実際に蛇がいたり、赤ありに噛まれたりもしたが、久しぶりに人のいない遺跡を独り占めさせてもらった。




0 件のコメント:

コメントを投稿