2014年8月24日日曜日

アンコール・トム 西大門(Angkor Thom West Gate)

シェムリアップでの最終日はいつもやることがなくて、いつもNくんにを困らせている。Nくんは、もうかれこれ6年近くもお世話になっているドライバーで、ある意味私のクメール語の先生でもある。英語を少し話すのだが、私がクメール語を勉強しているのを知っているので、基本的にクメール語しか話さない。だからこちらも頑張ってたどたどしいクメール語を使ってコミュニケーションをはかっている。

さて最終日だが、遺跡観光のチケットもすでに期限が切れているので行けない。行けなくもないが、一日観光チケット代金の20ドルは安くない。特に今回は現金に頼らざるを得ない状況なので、あまり無駄遣いもできないのだ。

土産物屋にも寄ったし必要なものは全て揃ってしまった。どうしようかと悩んでいたら、アンコール・トムの西大門に行ったことがあるかと聞かれた。南大門は有名で観光客でごった返し、東側にある勝利の門や死者の門もわりと有名だが、西側の門は聞いたこともなかったし行ったこともなかった。もちろん行ってみることにする。

バンテアイ・トムへ行く道の途中で右折した。赤土の道の向こうに見えてきたのは、南大門と同じ四つの顔を持つ大きな門だった。でも観光客など誰もいない。しんと静まり返っていて、地元の人たちがお堀で釣りをしていた。

西大門の正面

西大門がある意味見向きもされないのは、欄干の部分がすべて崩れ落ちているからだろう。南大門には有名な乳海攪拌の一場面、神々と阿修羅たちの綱引きをモチーフにした大きな欄干があり見応えがある。しかし、ここ西大門は像が一つも残っていない。よく見ると、阿修羅か神々のどちらかと思える胴体の部分が残っていたりするのだが、頭部は一つも残っていない。すべて盗まれたのか壊れたのか定かでないが、ただの瓦礫にしか見えないような状況だった。

神々か阿修羅の胴体部分だろうか

神々の胴体のように見えるが・・・

でも私は気に入ってしまった。この静けさ、遺跡の独り占め、私が好きな遺跡の要素をちゃんと備えている。瓦礫のように見える大きな石も、よく見ると彫刻の跡や、胴体の一部であろう部分が残されている。ここはいつか修復されるのだろうか。頭部が一つもない状況では難しいかもしれない。でもいい感じの遺跡だった。

ポツポツと雨が降り始めた。ここ10日間ほどまったく雨が降っていないそうだ。農家の人たちも困っていると聞く。一昨日も真っ黒な雲とあの嵐の前の風が吹いてきたので、やっと降るかなと思っていたのに結局降らなかった。ところが今、ポツポツ降り始めた。急いで車に戻る。車に乗り込んでほどなく、強く雨が降り始めた。久しぶりの雨だが、思ったよりもあっという間に止んでしまった。これでは農家にとっての恵みの雨とまではいかないだろう。

まだ空港に行くには早すぎたので、空港の滑走路が見える道端で、屋台からさとうきびジュースを買ってしばし休憩。搾りたてのさとうきびジュースは甘くて美味しい。100%天然だから体にも良いはず。ちょっと心配だったので、氷は抜いてもらった。それでもさとうきびそのものを冷やしていたらしく、ひんやりしていて十分に美味しかった。

これでシェムリアップとはしばらくの間、お別れだ。すでに12月のチケットを購入済みなので、さみしい感情はない。Nくんにも、また12月にね、と笑ってバイバイする。一週間もいたはずなのに、あっという間だった。まあ、いつものことではあるが。


さとうきびを搾るお姉さん

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