2015年11月14日土曜日

アンコールワットへのみち ~龍谷ミュージアム 京都~

京都にある龍谷ミュージアムにて「アンコールワットへのみち」という展示が12月20日まで行われています。その前に行われていた玄奘展を調べていた際に知ったのですが、私のお寺・仏像巡りの元々のきっかけがアンコールワットですから、これは行かないわけにはいきません。この日は特別講演も開催されるということで、早い段階から京都行きを決めていました。

この日は朝から小雨の振る日でしたが、メインがミュージアムと講演会なので、それほどにするほどでもありません。ミュージアムの前後に訪れた龍安寺と東寺に関してはまた別の記事で書くことにします。

今回の展示は、アンコール王朝における丸彫りの彫像の変遷に着目しており、とても興味深いものでした。様々な様式があることは知っていましたが、細かすぎましたし、プノンペンの博物館でもあまりしっかりとした説明がないこともあり、よくわからないままでした。ところが、今回の展示は規模こそはそれほど大きいものではありませんが、中身はとても濃く、個人的にとても勉強になりましたしアンコールの彫像にさらに興味を持つようになりました。


ほとんどの彫像は1m~1.5mほどのものばかりですが、これほど間近でゆっくり見学することはなかなかできません。また、今回は音声ガイドも借りたので、さらにじっくり鑑賞することができました。時代によって変わっていく模様や形式が紹介されているのですが、本当に小さな変化だったりもするので、よくここまで形式的に区別ができるようになったものだと、改めて感心させられます。言われてみれば、なるほどね、とは思いますが、自分ではまったく気付きもしなかったことばかりです。頭頂部、髻、冠帯、腰布のなどの模様や形の変化など、とても丁寧に説明されているので、素人の私にもよくわかります。

また、仏教の神々として吸収されたヒンドゥー教の神々が、日本ではどのように扱われているかの説明もあり、とても興味深かったです。ラクシュミーが吉祥天、ブラフマーが梵天、インドラが帝釈天などはすでに知っていましたが、プラシュナーパーラミターと呼ばれる女神像が般若波羅蜜多菩薩だろうとか、興味深い新たな知識もたくさんありました。最初の頃は、ヒンドゥー教と仏教がなぜ混在しているのかさっぱり理解ができなかったアンコール王朝やアンコール遺跡でしたが、十何年とカンボジアを訪れ、自分なりに勉強している中で、少しずつ理解が深まってきましたし、知れば知るほど面白くなり興味もわいてきています。当分はカンボジア通いと奈良通いは続きそうだな、と一人ニヤニヤしていました。

講演会では福岡市の学芸員の方が丁寧に写真を交えながら説明をしてくださり、こちらもまたわざわざ京都まで来た甲斐がありました。最初に講演者の方が、「この展示会は巡回展なんです」と言ったときは、まさか東京に来る予定なのか、と焦ったのですが、幸か不幸か東京には来ないとのことでした。龍谷ミュージアムのあとは、姫路、名古屋、そして東北を巡回するのだそうです。

講演を聞き終わった後、またじっくりと彫像を見たい思いに駆られましたが、東寺でも今見なければ今度いつ見られるかわからないような特別展示が行われていたので、そちらに向かうことにしました。


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