2015年4月29日水曜日

人の縁 ~能登川 石馬寺~

バスで甲西駅に戻ります。予定より数分早ければ30分待つ必要もなく電車に乗れるとドキドキしながら揺られていました。そして到着予定の二分前に着き小走りにホームへ向かい、運良く電車に飛び乗ることができました。これで石馬寺にも余裕を持って行ける、と思っていたのに、です。

なんと線路に人が立ち入ったとかで琵琶湖線が20分も遅れていたのです。乗りたかったバスには到底間に合わず、次のバスだと石馬寺の拝観時間がギリギリになってしまいます。今回は諦めようかとも思ったのですが、調べてみるとタクシーで1500円ほどだとわかり、奮発して行くことにしました。せっかくですから。

能登川駅に駐車していたタクシーに乗り込み一路石馬寺へ向かいます。10分程だったでしょうか。目の前にはまたまた石段が。今日はほとんど歩いていないので、最後くらいは頑張らないと、と思いながら登り始めました。

石馬寺の参道入り口
階段途中の様子

昨日の長命寺の808段に比べれば楽なものです。それほど段差があるわけではないので、比較的楽に登れました。もちろんそれなりに息はあがりましたが。

小さな境内ですが、やはり新緑のモミジが綺麗です。が、誰もいません。案内に従って個人宅の土間に入っていくと、かわいらしい小さな男の子が出てきました。二歳くらいでしょうか。と、後ろからお母さんが出てきて、あら、とびっくり。すぐに、どうぞ、と案内されて、まずは宝物殿に。

小さいお寺ながら、宝物殿の仏像たちは大きく立派です。中央に大きな阿弥陀如来座像がどっしりと座っており、その両側には二躰の十一面観音像、持国天が二躰、増長天と多聞天がそれぞれ一躰、さらに大きな大威徳明王がこれまた大きな牛の上にどっかりと座っています。テープで流れる説明を聞きながら、ゆっくり見ることができました。十一面観音像のお顔が優しくて、なかなかいい感じで気に入りました。

本堂にも入りましたが、ご本尊は秘仏のようで拝観することはできません。

外では先ほどの男の子とお母さん、そして住職のお父さんの姿も。住職の方から、どちらから、と聞かれたので、東京です、と答えると、僕は大宮なんですよ、と言います。そこから話が始まり、なんと奥さんは私の地元のすぐ近くに住んでいただけではなく、同じ中学校に通っていたこと、さらにお兄さんは一年ほど私が通っていた時期と被っていることまで判明。さらにさらに、ご住職は私の勤め先のことまで知っていました。

なんという偶然というか人の縁というか。まさか滋賀のどちらかというとマイナーなお寺で、地元の話で盛り上がれるとは。アイスコーヒーや羊羹までご馳走になり、30分以上もお邪魔してしまいました。

ご住職のバックグラウンドも変わっています。家がお寺でもなんでもないのですが、お坊さんになりたいと思ったのだそうです。最初は親に反対されて自衛隊にも入っていたそうで、確かにがっちりとした体格をされていました。石馬寺は檀家さんが80組程しかいない小さなお寺なので、逆に一人一人を大切にする事ができて、本来の自分の目的を見失わずにやれていると思っています、という言葉が印象的でした。

あっという間に時間が過ぎていき、拝観時間も過ぎてしまいました。その間、誰も来ませんでした。秋はまた紅葉が綺麗ですからぜひ遊びに来て下さい、と言っていただき、機会があれば是非、と思いました。男の子に、バイバイされながら石馬寺をあとにしました。

一期一会。旅先での出逢いは一期一会であることが多いですが、その一つ一つは大切な思い出になります。今回も思いがけず素敵な出逢いがありました。話に夢中になって、境内の写真はほとんどないのですが。

小さな石庭ながら趣がありました

0 件のコメント:

コメントを投稿