2015年4月12日日曜日

室生寺の桜 第2弾

雨の室生寺もしっとりとしていて良い、と言いつつも、やはり雨が降っていないときも行きたくて、結局行ってしまいました。桜の季節になってから、あまり天気に恵まれていない奈良ですが、この日は雲が多いながらもときどき太陽が顔を出し、気温も心地好い一日でした。

今回は名古屋での乗り継ぎ時間6分に初めて挑戦。この近鉄特急に乗れれば、時間を無駄にすることなく、そしてタクシーを使うこともなく、バスで室生寺まで行くことができます。新幹線はよほどのことがなければ遅れることはないだろう、という賭けのもとでの挑戦でしたが、無事に乗ることができました。

さすがに日曜日とあって人は多いながらも、それでも他の桜の名所よりは静かだと思います。私にとってはその静かさが良いので、あまり有名にはなってほしくないと、我が儘に考えてしまうのですが・・・。

桜はまだきれいに咲いていました。

五重塔と本堂
まずは奥の院へ向かいます。この前ゼーゼー言いながら登ったばかりですが、日頃の運動不足解消だと自分に叱咤しました。今回は傘をさす必要がないので、思いっきり上を見上げることができるわけで、鬱蒼と茂る杉の木を思う存分見上げてきました。まっすぐに伸びる杉の巨木は見事です。それが何百本も生えているのですから圧巻です。日中でも薄暗くひんやりしていて、杉の木の根元は色鮮やかな緑色の苔で覆われています。静かなこの山道を歩いていると、ここに神々が宿るとしか思えなくなってきます。宿らないわけがないとまで思ってしまうのです。私は一応クリスチャンなので、本当はこのような考えはいけないのでしょうが、こればかりは日本人のDNAに組み込まれているとしか言えないくらい、どうしようもありません。不思議です。

もちろん今回もゼーゼー言いながら登りました。そして登ったということで、またここでしか頂けない御朱印も頂いてきました。前回とは違う方だったので、筆跡も違いますし登った甲斐があるものです。

奥の院のあと、金堂へ行ってみると、依然いろいろと質問させて頂いた網代僧侶がいてびっくり。まあ、むこうもびっくりしていましたが。顔を覚えていてくれるというのは嬉しいものです。ここまで頻繁に訪れる人も珍しいでしょうから、逆に覚えられてしまうのかもしれません。今回、西光寺へ行こうと思っていたので、歩ける距離か聞いてみると、わざわざどこかに電話して聞いてくれました。登り坂なので大変かもしれません、としながらも、歩けなくはなさそうなので、一旦室生寺をあとにして西光寺へ行くことにしました。

道路に出て歩き始めると、なんと向こうから空車のタクシーが。これは利用しない手はありません。さっそく乗りこんで連れて行ってもらいました。確かにそれなりの坂で、20分はちょっときついかな、という感じ。素晴らしかったのは、車窓から見る室生の里の桜でした。斜面に民家が立ち、そして桜の木があちこちに植えられているのです。「里」と呼ぶのにぴったりの素敵な風景です。

そして見えてきたのが西光寺の枝垂れ桜です。まさに満開です。タクシーを降りると、枝垂れ桜の周りに咲くソメイヨシノからの花吹雪。心地好い風と共に辺り一面に桜の花びらが舞い散ります。どう形容しても、この風景を的確に表す表現力を私は持ち合わせていません。ただ言葉もなく風に吹かれていました。一応シャッターは切りましたが、あの風景を切り取ることはできていないでしょう。

西光寺の枝垂桜
花吹雪
帰りは歩きました。下りですし、室生の里をゆっくり歩きながら眺めたかったというのもありました。山間の里に桜が咲き、民家が点在する様は本当にきれいです。もちろんただ見るだけと暮らすのとでは大きな違いがあるのもわかっています。ここに暮らすか、と問われれば躊躇するでしょうし難しいだろうとも思います。それでもこのような里は大事にしたい。そう思わせる魅力的な里です。

室生の里

また、室生寺に戻りました。受付のお姉さんにも顔を覚えられていて、どうぞ、と中へ入れてくれました。お昼過ぎになってきたので、やはり人の出も多くなってきています。どうやら団体の観光バスも何台か到着しているようでした。

まず、先ほど寄らなかった本堂へ向かいました。やはり、ご本尊にご挨拶しないのは失礼でしょうから。外陣に入ってご本尊の如意輪観音を見つめていたら、職員の方に、「どうぞもっと近くに寄って、鐘を鳴らしてお参りください」と言っていただきました。せっかくなので、頭を下げさせてもらいました。ご~ん、と響く音が消えるまでの間、しばし黙想。

本堂と桜

そして金堂へ。金堂の受付のお姉さんも顔を覚えていてくれていて、快く中に入れてくれました。まあ、先ほど、「あとでまた戻ってくるかもしれません」と伝えてあったので、当たり前かもしれませんが。網代僧侶もまだいらしたので、またまた質問をさせてもらってしまいました。図々しいとは思いつつ、気になることがあるとついつい聞きたくなってしまいます。それに、網代僧侶はとても気さくな方なので聞きやすいのです。ちょっと申し訳ない気がしないでもないですが・・・。網代僧侶からは、桜を見るスポットや黄色い石楠花がすでに咲いていること、これからの特別拝観のことなどを教えていただきました。

興味深かったのは、石楠花の蕾が今年少ないの理由の一つが鹿にあるということです。鹿が石楠花の蕾を食べてしまうらしいのです。まず、鹿がそんなに多く生息しているということに驚きました。日中はほとんど目にしないそうですが、夜になるとたくさんの鹿を目撃することができるそうです。「鹿の研究者から、鹿は石楠花の蕾は食べません、と聞いていたのに参りました。」と網代僧侶は苦笑。以前は春先に生える筍の先に生えている葉だけを食べていたのに、最近は全部食べてしまうのだとか。石楠花の蕾を食べられてしまうのは室生寺にとって大きな痛手になるので、ネットを張ったりして別の山から侵入しないようにしているのだとか。いろいろと苦労があるようです。

団体の参拝客が入ってきたので、失礼することにしました。最後に弥勒堂の釈迦如来坐像に挨拶をし、網代僧侶から教えていただいた桜のスポットと黄色の石楠花を見に行くことにします。石楠花と言えばピンク、と思っていたので、黄色の石楠花があるというのは驚きでした。小さな石楠花でしたが、鹿対策なのか緑色のネットで囲まれていました。淡い黄色の石楠花でこれもまた群生していたら見応えがあるだろうなあ、と思います。

紅ヒガン桜

そういえば、網代僧侶から聞いたことですが、今年、200本ほどの新しい石楠花を植えたのだそうです。ですので、来年か再来年にはまたたくさんの蕾がつくのでは、ということでした。一年ごとに巡ってくる出会いを待つ必要があるようです。

境内の外側に、五重塔修理費寄付者御芳名がずらりと書かれています。今までは特に見向きもしなかったのですが、今回ちらりと「法輪寺」という字が見えて、視線が止まってしまいました。法輪寺も昔、雷で三重塔を焼失しています。杉の大木が倒れ、室生寺の五重塔が大きく破損したとき、法輪寺も思うところがあったのかもしれません。勝手に感動していました。

下の段の右から三番目に「法輪寺」の文字が

太鼓橋から見る室生寺の山門と桜

室生寺からバス停に向かう途中、道のわきに早咲きの石楠花がありました。きちんと石楠花を見るのはたぶんこれが初めてです。これがあと一ヶ月弱で室生寺を覆うのだと思うと、仮に花数が少なかったとしても、今からとても楽しみです。


室生口大野駅周辺も桜が多い

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