2015年4月30日木曜日

巨大な秘仏三躰 ~吉野 金峰山寺~

當麻寺からゴトゴト電車に揺られること一時間。やっと吉野に到着しました。単線なのか、停まる駅ごとに二分、三分と停車するので時間がかかります。それがなければ一時間もかからないのではないでしょうか。

さすがに桜の季節も終わり、人はまばらでした。吉野からケーブルに乗り込んでさらに上へ登ります。三分ほどのケーブルですが、値段は360円と意外とかかる気がします。青々とした新緑の中を登っていくのは気持ちよかったですが。


ケーブルを降りてさらに登っていくと、大きな金峰山寺の山門が見えてきます。これから平成の大修理に着工するとかで、すでに下半分は工事用の網で覆われていました。仁王像は見られるようになっていましたが、やはり網で覆われてしまうとちょっと雰囲気がなくなってしまうのが残念。

さらに進み、階段を登っていった先に、ど~んと見えてくるのが金峰山寺の本堂です。東大寺の本堂は日本で一番大きな木造建築ですが、金峰山寺の本堂もそれに劣らぬほどの大きさです。あんぐりと口を開けて見上げてしまいます。東大寺にしてもこの金峰山寺にしても、よくもまあこれだけ巨大な建築物を建てたものだとただただ感心してしまいます。このような建築物を見る度に、昔の人たちの知恵、力、努力、根気に頭が下がります。

金峯山寺の本堂
金峯山寺本堂の入り口
今回はこの金峰山寺のご本尊である金剛蔵王権現三躰が特別に開帳されていたので、わざわざ吉野まで来たのです。5月6日までなので、行けるどうか微妙だったのですが、頑張って来た甲斐がありました。

拝観料をここで払います

巨大な本堂内に巨大な蔵王権現が三躰です。厨子ももちろん巨大だけれど、そこからはみ出さんばかりの巨大な蔵王権現がいます。中央がもちろん一番大きく、近くで見上げないと厨子で頭の先が隠れてしまいます。不思議なのは三躰とも真っ青な肌をしていることでしょうか。それもとても鮮やかな青です。でも違和感はありません。不思議なのですが、とても似合っていると言ったら良いのでしょうか。

無知な私は権現と明王の区別すら知らなかったのですが、今回権現とは如来や菩薩の化身だということを知りました。中央が釈迦如来、右側千手菩薩、左が弥勒菩薩の化身なのだそうです。やはり三躰とも少しずつ表情が異なり、私は弥勒菩薩が一番好きかもしれません。弥勒菩薩は未来仏といわれる菩薩なのだそうです。三躰とも怒りの形相で辺りを睨みつけていました。

建物に使われている木々も様々な種類のものがあるそうです。檜や杉はもちろんのこと、梨などの木も使われているそうです。木の種類によって硬さや性質も異なると思うのですが、それらを一つの建物にするにはやはり相当の知恵や技術が必要だったのではないでしょうか。また、三躰の権現像はすべて桜の木が使われているそうです。桜の木は神聖な木とされていたそうで、間違えて小枝でも折って火にくべようなら生涯に渡って罰が当たると言われていたとか。桜の名所の吉野に桜の木から作られた三躰の権現を祀る金峰山寺。やはり深いつながりがあるようです。

吉野では桜の新緑も楽しみにしていたのですが、結局どれが桜の木なのかあまり確認することもできずに終わってしまいました。モミジもたくさんあって新緑が綺麗でしたから、秋の紅葉の時期もすごいのかもしれません。もちろん人出もすごそうなので、わざわざここまで来ようとはちょっと思いませんが。

金峰山寺のご開帳は良かったのですが、全体的にはちょっと消化不良気味でした。頂きたかった散華がなかったり、ご朱印を書いていただいたときに、向こうのミスで別の内容を書かれてしまい、おまけだから朱印はなしね、と初めて朱印のない文字だけのページができてしまったり。まあ、別にいいのですが、ちょっと心の中で苦笑いです。

この後はまだ少し時間があるので、桜井まで戻り、様子を見て安倍文殊院に足を伸ばそうかと思っています。


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