趣味の一つに読書がある。
ただ、毎回買っていると置き場所に困るので、仕事場の図書館を頻繁に利用している。暇さえあれば読みあさる時期があるかと思えば、パタリと読むのをやめてしまう時期もあったりして、我ながら波があるなとは思いつつ、最近は読みあさる時期に入っている。
半年ほど前は図書館にあった東野圭吾の本をほとんど読んでしまった。次に手をつけたのは図書館戦争シリーズで有名になった有川佑。さらに話題の池井戸潤。そして、NHKでドラマ化された裏同心シリーズも一気に読み終えた。裏同心シリーズくらいであれば、一日、二日あれば読み終えていた。
ところが。
先日、井上靖の「天平の甍」を読んだ時だった。薄い文庫本なのに、全然進まないのだ。面白くないからではない。漢字の量や文体の違いで、ゆっくり読まされていた。正直驚いた。文体でここまでスピードが落ちるものなのか。
天平の甍は鑑真和上が渡日するまでの話で、日本の遣唐使と共に留学僧として中国にわたった普照という僧侶を中心に話が進んでいく。まず恥ずかしながら、「併し」や「嘗て」が読めなかった。さらに、登場人物の名前が「普照」や「栄叡」である。他にも様々な耳慣れない名前や地名が出てくる。ゆっくり読まないと、あっという間にわからなくなっていた。
このような本もあったのだと改めて思い起こさせられたのと同時に、読みやすい本ばかり読むのもあまり良くないな、とも思った。無理に難しい本を読む必要はないかもしれないが、そればかりだと物足りなくなってくる。今回久しぶりに真剣にゆっくり読まされる本を手にとって、さらに読書の奥深さを知った気がしている。
今、読んでいるのは、同じく井上靖の敦煌。これが終わったら「星と祭」を読む予定だ。結局、この辺りも奈良巡り、仏像巡りに絡んできている。当然の成り行きなのかもしれない。
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