2015年1月6日火曜日

コーケー その① カンボジア

久しぶりにコーケーを訪れた。シェムリアップからベン・メリアを経てさらに北東へ向かう。約2時間のドライブだ。しつこいが、本当に道が良くなった。2時間でコーケーまで行けてしまうなんて信じられない。実はコーケーと言っても遺跡が複数存在する場所なのだが、有名なのは何と言ってもプラサット・トムと呼ばれる寺院だろう。ここには大きなピラミッドがあり、その頂上からの眺めは最高だった。ところが、元々の階段が崩れてしまい、何年も登ることができない状況にあった。ところが最近、新しい階段を設置し、上まで登れるようになったと聞き、再訪しようと思い立ったのだ。

入場料は一人10ドルだ。高いと思うか妥当と思うかは、まあ人それぞれだろう。まずはプラサット・トムに向かう。ピラミッドの東側にある祠堂の部分はやはり相当崩壊している。以前は近づけた場所も危険と判断されたのか、ロープが張られて入れないようになっていた。他にも応急処置的に祠堂をロープで固定したり、木材を使って崩れないように固定したりしている部分が目立つ。ある回廊では片側が一列の柱がすべて横倒しにもなっている。頭部と胴体とが割れてしまっている聖なる牛ナンディンもあった。欄干の役割をもつ聖なる蛇のナーガも斜めに倒れてしまっている。それでも、所々に残る破風の彫刻はまさにクメールの彫刻で、見知った絵柄も多い。中央部分は煉瓦造りの塔がいくつもあったようだが、なんとか形を留めているには5塔ほどしかない。
倒れてしまった柱
すべてが巨石にに埋もれる
ナンディンの頭部
そんな祠堂を抜けていくと、前方の視界が開けピラミッド型の寺院が姿を表す。7層になっているこのピラミッド。初めて見た時は、さすがに驚いた。近寄って見てみると、正面にあった階段がずいぶんと崩落している。これでは登ることは不可能だ。歩道に沿ってピラミッドの右側に歩いて行ってみると、木製の階段が取り付けられていて、頂上まで登れるようになっている。もちろん登る。そして、もちろん息が上がる。

プラサット・トムのピラミッド

プラサット・トムの頂上に埋もれる巨大なガルーダ

頂上からの眺めは素晴らしい。周りには何も遮るものがなく、見渡す限りのカンボジアの大地が目の前に広がる。山もなければ何もない。真っ平らの大地が360度広がっている。そして、頂上には巨大なガルーダがいる。元々は頂上にあった巨大なリンガの台座を下から支える形をとっている。綺麗に残っているのは2体のみだが、その2体も腰から下は土に埋れてしまっている。他のガルーダに至っては、崩れてしまって何とかガルーダであることがわかるくらいになっているものや、まったくその形をとどめていないものもある。当時の姿は相当迫力があっただろう。まさに権力の象徴でもあったはずだ。

しばし崩れた巨石に腰をおろして周りを眺めていた。できれば長めに座っていたかったのだが、吹く風は心地よいとはいえ、太陽の影になるものが何もなく、さすがにこの時期でも太陽の日差しを浴びているのはきつい。

ピラミッドから降りて、またゆっくりゆっくり祠堂を見て回りながら戻る。

そういえば、クメール人たちの観光客がずいぶん訪れていた。土曜日だったからかもしれない。多くは食べ物や飲み物を持参していて、どこかのスペースでピクニックでもするのだろう。私のような外国人観光客は、プラサット・トムの入り口付近にある食堂で昼食を取る。このことは、他の点在する遺跡の話と共に次のブログで書こうと思うが、初めて訪れた時は弁当を持参してきた。まだ、地方の食堂で食べるのは衛生的にもまだダメだろう、と言われていた。それが今ではバンテアイ・チュマールでも現地の食堂で食べるようになった。衛生面が向上したのか、私のお腹が慣れてきたのか。一応、今のところお腹の調子は悪くない。

お昼頃には、外国人観光客の姿も増えてきたが、朝一で来た甲斐もあり、静かに観賞することができたのが良かった。外国人観光客が増えたとは言っても、ベン・メリアに比べればまったくたいしたことはない。静かな場合が好きな者としては、いつまでもこうあって欲しいと思うがどうなのだろう。




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