2015年1月17日土曜日

機織り

カンボジアのシェムリアップに行くと必ずやること。一つはもちろん遺跡巡りだが、もう一つは機織りだ。クロマー・ユーユーという工房で機織り体験を初めてさせてもらったのは、もう5年以上にもなる。

もともと機織りに興味があった。小さい頃、小さい子ども用の機織りのおもちゃをクリスマスプレゼントにもらったこともある。カンボジアやラオス、タイ、ミャンマーでは機織りの工房をいろいろ見学させてもらったし、日本でも見学したことはある。ただ、体験ともなると、なかなか機会はなかった。日本で機織り体験をさせてもらえる場所はあるにはあるが、それこそコースターやブックカバーくらいで値段もそれなりだ。そんなこともあり、興味はあったがなかなか手が出せなかった。

それがふとしたきっかけ、出会いから、シェムリアップの機織り工房で体験をさせてもらえることになり、そのときからずっと、シェムリアップへ行く度に機織りをさせてもらっている。

機織りは楽しい。楽しいからこそこれだけ続いているわけだが、実はとても難しい。慣れてくれば慣れてくるほど機織りの奥深さというか難しさを実感する。最初の頃は、とにかく織ることが目的だったし、織りあがればそれで満足していた。ところが、回を重ねていくと、より良い物を織りたくなる。より綺麗な仕上がりが欲しくなる。すると、今までただ織っていた作業に深みが出てくる。難しい。

経糸を引っ張る強さが左右共に同じになっているか、筬を打ち込む力は均等になっているか、筬に不必要な力が加わっていのか、などなど考えたり確認したり知っておいたりする必要のあることがたくさんある。経糸を引く力が均等でなくても、筬を打ち込む力が均等でなくても、布の濃淡が変わってくる。チェック柄であれば柄が曲がったり太さが均一でなくなってしまう。筬に不必要な力が加わりすぎると、経糸が切れやすくなってしまう。これで、何回経糸を切ったことか。切れても修復方法を学んだので直すことはできるようになっているが、やはり余計な時間はかかるし、リズムも崩れてしまう。緯糸の太さや材質によっても打ち込み方や左右での微妙な引き具合が変わってくる。

そう。頭ではわかっているのだが、実際にやってみると、考えているほど簡単ではない。簡単ではないどころか、とても難しい。だから楽しい。力の入れ具合、筬の打ち込み方など少しずつ自分なりに考えてやってみる。うまくいかなければもう一度考えて変えてみる。その繰り返しだ。そうしていくうちに、なんとなく体がわかってくる部分もあって、なるほどなぁ、と勝手に感心してしまうこともある。

先日、4.5mの生地を織りあげたあと、日本でシャツに仕立ててもらった。自分で織った布がシャツになる。これは言葉でなかなか説明できないほど感動した。着てみてにやけている自分に気づく。

これからまた、機織りの楽しみが増えそうだ。

 

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