2014年12月30日火曜日

バンテアイ・チュマール カンボジア

暑い(^-^) カンボジア人にしてみると涼しいようだが、極寒の東京から来ると、やはりカンボジアは暑い。もちろん嫌な暑さではないし、乾期ということで、雨期の汗が噴き出るほどでもない。やはりカンボジアでは過ごしやすい時期だと思う。

が、その分、観光客の数もハンパない。年末年始だから多いとは覚悟していた。それでも、シェムリアップの空港に着いて、ぞろぞろと歩く多くの観光客を見て、ビザカウンターの長蛇の列、そして入国審査の長蛇の列を見て、この時期にカンボジアに来るのはやめようか、と本気で思ってしまった。

それでも、出口でいつものドライバーくんの顔を見つけた瞬間、やはり笑顔がこぼれてしまう。今回、このドライバーくんはすでにVIPのドライバーとしての予約が入ってしまっており、初めて一緒に行動することが叶わなかった。いつも一緒にいたので気心がしれていたし、彼のカンボジア語にも慣れていたので、新しいドライバーさんとどうなるか実は少し不安だった。それが、時間があったから、とわざわざ空港までそのドライバーさんと一緒に来てくれていたのだ。嬉しいに決まっている。今回お世話になるドライバーさんのワゴン車に乗り込むと、ドライバーさんが、一緒に後ろに乗りなよ、と言ってくれた。ホテルまでの10分ほどの時間だったが、会うのは難しいかな、と思っていただけに余計に嬉しい。もし会えたら、と思って用意していたお土産も渡すことができた。私がくると、日本のお菓子が食べられる、と喜ぶ息子くんもきっと喜んでくれるだろう。彼の家族もみんな元気だということで、こちらも嬉しくなる。

そして今日、バンテアイ・チュマールへ行ってきた。とにかくアンコール・ワット周辺は大変な混みようだろうからと、今回は久しぶりに遠出することにしていた。シェムリアップから西へ150キロ程だろうか。以前は4、5時間かけて悪路を行ったのだが、今回は3時間強で行ってしまった。途中、道路工事中の場所が何箇所もあり、赤土の部分もまだ多く残されているが、ほとんどスピードを落とさずに走れるほどに改善しているのがすごい。相変わらず、道路工事中にもかかわらず、車がその合間をぬって走ってしまうのがカンボジアらしいが。

そしてバンテアイ・チュマールだ。思った通り誰もいない。一人で東側から壁の内側へ足を踏み入れる。ほとんど崩れ落ちてしまっている大きな石の上を足を滑らせないようにゆっくり歩く。入った瞬間、さわっと吹く風に頬を撫でられ、なぜか心が飛んだ。こに感覚が好き、この感覚を味わいたかった、そう思える風と空間だった。一瞬、自分がどこか遠くの場所へ連れ去られたような、時代を遡ったような、そんな感覚でもあった。

バンテアイ・チュマールのレリーフの一部
それにしても瓦礫だらけだ。いたるところに彫刻が残された石もあり、足を乗せるのが申し訳ない。ただ、石以外のところに足を乗せるのは実は危険なのだ。石以外の部分は枯葉や草に覆われているので、うっかり足を下ろすと実は空洞になっていたということもある。だから浮石に気をつけながらも石を足場にした方が安全なのだ。

崩れ落ちた巨石
巨大な石が行く手を阻む
遠くにガルーダのレリーフが見られる
それでも、足元がおぼつかない場所も多々あり、無茶はしないようにする。私の今回の一番の目的は、千手観音を見ることなのだ。途中、クメール語しか話せない男の子が現れてガイドらしきことをしてくれた。といっても、千手観音の場所まで案内してくれたくらいで、まあ彼がいなくても見つけることはできたと思う。それでもしっかり一ドルをねだられてしまった。断ってもよかったのだろうけれど、嫌な思いもしたくなかったので渡すことにした。渡して少しすると、そろそろ行くね、といなくなってしまった。まあその方がゆっくり千手観音を見ることができるので、私としてもその方が良かったのだが、わかりやすいな、と苦笑してしまう。

千手観音は二体残されている。元々は六体あった。ところが、四体が盗掘にあってしまい、二体は取り返されてプノンペンの国立博物館に展示されているが、二体は依然として行方不明だ。残された二体は、個人的に国立博物館の二体よりも好きである。バンテアイ・チュマールに残されている方が、手の数も多く彫刻も丁寧な気がする。

千手観音
もう一つの千手観音
千手観音の御手
千手観音の反対側の御手
千手観音の足元で踊りを捧げるアプサラ

千手観音の前に積み上がっている崩れ落ちた石の上に座って、少しゆっくり眺めていた。一人のいいところは、好きなだけ好きなものを眺めていられる、というところだろう。日本の千手観音とはもちろんずいぶん雰囲気は異なる。でも、カンボジア人のグループが来て、千手観音の前に座り、声を合わせてお経を唱えている姿を見たとき、同じだな、とも思った。

千手観音の前で祈りを捧げる
帰りの道も順調で、午後4時過ぎにはシェムリアップに戻ってきた。久しぶりのバンテアイ・チュマール。良かった。

ガルーダのレリーフ
入り口付近で一人の僧侶が瞑想していた

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