2015年6月17日水曜日

水月観音 ~東慶寺~

東慶寺も多くのカメラマンや観光客で賑わっていました。もしかしたら浄智寺よりも人は多かったかもしれません。カメラマンのグループもいくつかあって、お互いに液晶画面を見せ合って先生らしき人に質問したりしていました。

ちょうど、剪定作業の真っ最中で、何人もの植木職人の方々が作業をされていて、それはそれでなかなか興味深かったです。

今回、初めて宝蔵館に入ってみました。本堂は行ったことがあったのですが、宝蔵館はあることすら知らなかったのです。小さいとはいえ、参道のすぐ脇にあるので何度も目にはしているはずですが、興味がないとは怖いもので、まったくにアンテナに引っかからなかったようです。人の目というのは都合よくできているものだとつくづく思います。

東慶寺の紫陽花

400円の入館料を支払って中に入ると、すぐに聖観音菩薩立像があります。これがまたいい感じなのです。土紋とよばれる装飾技法が用いられている数少ない仏像だそうでが、その紋様だけでなく全体の雰囲気や表情も素敵な仏像でした。もともとは別のお寺に安置されていたとのことです。仕方のないこととはいえ、宝蔵館の片隅にたたずむ聖観音菩薩を見ていると少しさみしい感じが感じもしてしまいます。やはり仏像はお堂の中で拝観したい、と思うからです。展示品としてではなく信仰の対象としての仏像は様々な人々の思いが詰まっている気がして、それだけでいろいろと感じ入ってしまいます。

宝蔵館の聖観音菩薩 ガイドブックより

二階の展示室には女性の駆け込み寺だったここ東慶寺の文書が展示されていました。今で言うところの離縁状などが展示され、東慶寺に駆け込んだ場合、どのように物事が進んでいくのかなどの説明もありました。勉強にはなりましたが、興味からすると残念ながらそれほどではありません。

さて、今回東慶寺を訪れた一番の目的は、通常公開されていない水月観音を拝観することです。予約をすれば良いとのことで、数日前にメールで予約を入れていました。時間になったので行ってみると、女性二人組が二組と私の5人のようです。係の女性が本堂を抜けてさらに奥にある部屋まで案内してくれます。

水月観音が安置されている部屋は本堂に続く小さな明るい部屋で、壁際に月のようにくりぬいた場所に置かれていました。小さな仏像ですが、とても優雅なお姿です。自然光の下では目がはっきりと見えキリッとした表情なのですが、電気がつくとふっと節目がちになるのが不思議です。光によって表情が変化する水月観音を見ていて思い出したのは、滋賀県の湖東三山の一つ、西明寺です。ここにも光によって表情を変える仏像が安置されていました。心なしか顔つきも似ている気がしないでもありません。

水月観音菩薩 ガイドブックより

水辺に座り少し前屈み気味に右斜め前を見ている様子なのだそうです。水面に映る月を見ていると言われる像で、全体も柔らな雰囲気を持っています。衣から見える手足も少しふくよかで、手足だけを見ると幼子のようにも見えます。最後に電気を消した状態をもう一度見させてもらいました。やはり、白眼がはっきりと見え、表情がキリッと引き締まります。さらに、頬のふくらみも強調されるようで、さらにふくよかな顔になるのです。見る人によって表情は変わるかもしれませんね、と係の女性が言っていました。作られたのは13世紀頃だとのことですが、詳しいことはあまりわからないのだそうです。

鎌倉にこんなに素敵な仏像があるというのは少し驚きでした。特に東慶寺の水月観音と聖観音菩薩立像はとってもお勧めです。

次はいよいよ明月院です。

仏像と紫陽花
不思議な色の紫陽花でした


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