2014年9月19日金曜日

當麻寺 ~四天王と二つの塔~

午前中に斑鳩三塔の法隆寺、法輪寺、法起寺を巡ったあと、當麻寺を訪れた。

法起寺前のバス停から一時間に一本しかないバスでまずは近鉄郡山駅へ向かう。一時間に一本という本数なので、うまく時間を合わせないといけないのだが、予定よりも一時間早い10:18のバスに乗ることができてしまった。20分ほどで郡山駅に到着する。郡山からは近鉄戦でまずは橿原神社前まで行き、乗り換えて当麻寺駅まで行く。当麻寺駅から當麻寺までは徒歩で20分程度だ。

近鉄線もやはり本数が少ないので、携帯の乗り換え案内で時間を調べながら行く。当麻寺駅から當麻寺までの道は歩いている人がほとんどいない。やはりマイカーを利用する人が多いのだろう。その方が便利だろうし、時間を気にする必要もないので楽なのだろう。ただ、運転が嫌い、タクシーは高すぎる、という考えの持ち主としては、公共の交通機関と自分の足を利用するしかない。さすがに長距離を歩いていると、疲れたな、タクシーに乗っちゃおうかな、という誘惑に負けそうにもなるが、基本的に電車・バス・徒歩を利用してのお寺巡りは嫌いではない。時間のチェックなど、事前に相当調べるので、その調べる過程も旅行の一つと考えられて実は楽しい。

駅からの道にはほとんど観光客の姿はなかったのに、當麻寺に到着すると思っていたよりも人が多い。山門をくぐり直進すると左に金堂、右に講堂がある。そして正面に曼荼羅堂と呼ばれる本堂がある。この當麻寺はご本尊が曼荼羅という変わったお寺らしい。仏像は少し勉強して以前よりはわかるようになっているが、曼荼羅は相変わらずよくわからない。

まずは曼荼羅堂に入って拝観料を支払う。内陣に入ると確かに中央には大きな曼荼羅がある。この曼荼羅は中将姫という姫が観音様の導きの下、一晩で織りあげたと言われているものだそうだ。機織りを体験している者として、これだけ大きな曼荼羅を一晩で織りあげるのは不可能だと思うが、伝説として残され信じられているのだそうだ。内陣の右側には十一面観音立像も安置され、別名を織姫観音とも呼ばれるらしい。機織りが大好きな私には気になる観音様でもある。


當麻寺の曼荼羅堂

當麻寺の講堂(左手に見えるのは曼荼羅堂)

金堂内の広目天(當麻寺ガイドブックより)
外に出て講堂へ向かう。講堂内には阿弥陀如来坐像を中心に、数体の仏像が一列に並んでいた。個人的に一番気に入ったのは金堂内の仏像だ。弥勒仏坐像を中心に、四天王立像が四方を守っている。ここの四天王は大きな立像で迫力があるのだが、猛々しい感じはせず、どちらかというと優しさを秘めた表情をしている。周りを威圧しているというよりは見守っているという感じなのだ。雰囲気もどことなく大陸的で、日本人というよりもギリシャやペルシャのような風貌のような気がするのは私だけだろうか。

  
講堂内の広目天(左)と増長天(右) (當麻寺のガイドブックより)

 最近、四天王のことが少しずつ分かってきた。というか、名前をやっと覚えた。立ち位置や持ち物もなんとなくわかってきた気がする。基本的に如来像を中心に、左後ろに広目天、左前に増長天、右後ろに多聞天、そして右前に持国天が立つ。広目天は筆と巻物を持ち、多聞天は宝塔を持っていることが多い。まだ把握できていないのが増長天と持国天だ。持国天の持ち物はこれだ、と思っても、別の場所では増長天が同じものを持っていたりするので区別がつかない。広目天と多聞天の区別がつくようになっただけでも良しとするべき、と自分で勝手に褒めている。


中之坊と呼ばれる中将姫が仏門に入るために髪を切ったと場所に行ってみる。中には剃髪堂と呼ばれるお堂があり、その中に導き観音と呼ばれる小さな観音様が安置されていた。この観音様は中将姫をここまで導いてきてくれた観音様ということで、信仰の対象となっている。

中之坊にある剃髪堂
中之坊内の庭

中之坊には剃髪堂の裏にきれいな庭もあり、その後ろに當麻寺の二つの三重塔のうちの一つ、東塔を見ることができる。東塔も西塔もその近くまで行くことはできるのだが、全景を取るようないい感じの距離を保つことができず、あまり良い写真が撮れなかったのが唯一の心残りだ。遠くから望遠レンズを使おうとすると、電線が邪魔をしてしまいうまく撮れないのだ。塔好きとしては残念過ぎて少しショックでもある。二つの塔が残っている珍しい寺でもあると聞いていたから余計だ。

それでも、當麻寺もいい感じだった。曼荼羅はどうもまだよく理解できないのだが、講堂の四天王が良かった。どうも私は脇役の方が好きになってしまうようだ。曼荼羅よりも脇に安置されていた織姫観音が気になるし、講堂の阿弥陀如来よりも四天王が記憶に残ってしまっている。

中之坊の庭に咲いていた芙蓉

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