2015年9月24日木曜日

玄奘さん ~龍谷ミュージアム 京都~

広隆寺の次に、京都に寄った目的の龍谷ミュージアムを訪れてきました。

最初は特に行くつもりはなかったのですが、薬師寺に関わりがあることを知って、これは行ってみる価値があるかも、と思ったのです。もともと仏像やお寺のお堂などに興味があり、仏教の経典や開祖にはあまり興味がありませんでした。ただ、三蔵法師のモデルといわれる玄奘さんについては知っておいてもいいのでは、と思ったのです。

バスを乗り継いで西本願寺の真向かいにある龍谷ミュージアムへ向かいました。到着してチケットを買っていると、5分後から薬師寺の僧侶による法話が始まるというアナウンスが入りました。これは聞かない手はありません。すぐに、講義室へ向かいました。

今回の法話者は、以前薬師寺で修学旅行生に向かって話をしていたのを聞かせてもらった加藤僧侶でした。向こうは当たり前ですが私のことを知るわけはありませんが、勝手に親しみを覚えてしまいます。

玄奘さんの企画展ということで、玄奘さんについての話から、人生についての話をしてくれました。お経を読む、お経を写すということはどういうことなのか、功徳を積むとはどういうことなのか、などをわかりやすく加藤僧侶なりの考えを交えて話してくれました。もちろん、薬師寺の僧侶らしく、途中で笑いを交えます。淀みなく話を進めていきますから、改めて彼らのトーク術のレベルの高さに感心してしまいます。話の内容よりそちらの方を感心させられたかもしれません。

加藤僧侶曰く、写経は心を落ち着けて自分のことを振り返る時間なのだそうです。そうして自分の内面を見つめ、これからどうあるべきかを静かに考える時間なのだと。だからぜひ薬師寺の写経をやってみて欲しい、とさらりと薬師寺の写経の宣伝もしていました。個人的に写経は宗教の違いもあって躊躇するところがあるのですが、心をしずめて自分を振り返る時間の大切さという意味ではとても納得するところがあります。宗教が異なるとはいえ、お寺を訪問したり、仏像を拝観させていただきながら、ボーっと過ごしている時間が、自分にとっては自分を振り返る大事な時間なように思うからです。

法話のあと、展示品を見学しました。玄奘さんの性格や生涯、そして働きなどがわかりやすく解説されていて、思っていた以上に楽しめました。玄奘さんは「真面目でストイック」なのだそうです。3万キロを歩いた人でもありますから、孫悟空の映画に出てくるような華奢な人ではなく、もっと力強い人だったに違いない、と加藤僧侶も言っていました。それにしても莫大な量の仏典を中国に持ち帰り、そしてそれらを翻訳するという神技を成し遂げた人です。神格化されるのもわかる気がします。ただ、個人的に、この世の人を神格化して拝むことはどうもしっくりこないというか、納得できない部分があるので、お寺などで上人の像があっても、あまりじっくり鑑賞することがありません。その人の業績が確かに素晴らしいもので、賞賛に値することはまったく否定しませんが、その人を拝む・信仰することには違和感を感じてしまうのです。

見学後は、ミュージアムのカフェで昼食をとったあと、奈良へ向かいました。



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