2015年12月20日日曜日

土門拳記念館 ~山形県酒田市~

一泊二日で山形県の酒田市を訪れました。先日、入江泰吉の美術館を訪れたときに、入江泰吉と土門拳という大和路を代表する写真家の写真集を購入し、入江泰吉とはまた異なる眼差しを持つ土門拳に興味を持ちました。土門拳が足蹴く通ったお寺の一つが室生寺だというのも重要なポイントかもしれません。

それにしても酒田は遠かったです。東京駅から新潟まで約二時間、さらに新潟から酒田まで羽越線の特急で二時間強。さすがに座っているのがきつくなってきます。特急からは日本海の荒波を間近に見ることができ、これはとても久しぶりのことだったので、ずっと外を眺め続けていました。

日本海
荒々しいです
酒田からは一時間半に一本というるんるんバスに乗ります。40分ほどの待ち時間があったので、土産物屋のイートインコーナーで、だだちゃプリンなるものを食べてみました。枝豆のプリンといえことになるのですが、なかなか美味。だだちゃ豆の香りがふわっとするのですが、なかなかいい感じでした。ただ、それほどしょっちゅう食べたい感じではありませんでした。

るんるんバスに乗ること20分弱。土門拳記念館のバス停に到着します。とても近代的な打ちっぱなしのコンクリートでできた建物ですが、シンプルですっきりとした建物です。

シンプルな外観
土門拳は酒田市の名誉市民第1号でもあるそうです
この時期、「ぼくの好きなもの」と題した展示がされていて、お寺や仏像の写真が大きく引き伸ばされて展示されていました。迫力があります。

土門拳の写真を見ていて思うのは、力強さとでも言うのでしょうか。戦っているなぁ、という思いが湧いてるのです。喧嘩をふっかける、という挑み方ではなくて、自分のすべてをぶつけているんだから、お前もすべてをぶつけてこい、と言われている感じがします。

入江泰吉も土門拳も強さと優しさの両方を兼ね備えていると思うのですが、入江泰吉が優しさの中に秘められた強さ、という印象に対して、土門拳は力強さの中に秘められた優しさ、というイメージでしょうか。写真にも性格が、想いが表れるのだなぁ、と改めて感じました。

大好きな室生寺の写真を始め、奈良や京都の写真、そして見ていて訪れたくなる場所の写真など、多くのインパクトを与えてくれました。特に気になったのが、島根県にある三仏寺と大分県にある臼杵石仏群です。三仏寺は以前から知っていましたが、険しい山を登らなくてはならない場所にあり、難しいかなと思っていた場所です。大分県の臼杵石仏群は初めて知った場所ですが、ここはまた訪れたい場所の一つとしてインプットされました。大分県ですから飛行機でしょうか。

バスの本数が少ないこともあり、結局3時間近く記念館に居座っていました。ずっと写真を見ていたわけではなく、置いてあるソファに座って持ってきていた本を読んだり、流されていたビデオを見たりしながらバスの時間を待っていました。

ビデオで初めて動いている土門拳を見たのですが、やはり戦いの人だなあ、と感じてしまいました。晩年、二度の脳卒中で倒れながらも、車椅子で移動し、不自由になってしまった右手の代わりに左手で筆を取るなど、病気に屈することなく写真を撮り続けた姿には頭が下がります。「戦う」よりも「闘う」方が合っているのかもしれません。

わざわざ山形まで来た甲斐があったな、としみじみ思うことのできる記念館でした。

土門さんという題名らしい

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