2015年2月8日日曜日

入江泰吉記念 奈良市写真美術館

先日、奈良の入江泰吉記念奈良市写真美術館に行ってきた。写真を趣味としているにもかかわらず入江氏のことはあまり知らず、最近になって知人から大和路の写真家といえば、と聞いて、これは行かなければと思っていた場所だ。以前、訪れた新薬師寺のすぐ裏手にあり、新薬師寺を訪れたときになぜ訪問しなかったのか自分でも不思議である。

こぢんまりとしたモダンな建物の地下一階に、入江氏の写真がずらりと並べられている。彼の写真を見て瞬間に思ったのは、「眼差しが優しい」ということだった。まったくの素人目なのだが、眼差しが優しい写真はなぜかすぐにわかる。あ、この人は本当にこの場所が好きなのだな、と伝わってくる。

私が好きなお寺や仏像、そして大和路の風景の写真を見ていると、こんな視点もあったのか、と勉強になる。もちろん、基本的には仏像の写真をとることは不可能で、入江氏だからこその写真でもあるのだが、お寺や風景の写真は一見何でもないような場所でも、切り取り方でこうも違うものなのか、と改めて驚かされる。

家に帰ったあと、入江氏の写真やエッセイ集を読んだ。そして感じたことは、良い写真を撮るには「撮らせてもらう」という気持ちが大事だということ。無理やり良い写真、良い構図を作り上げようとしてもダメなのだと思った。お寺にしても風景にしても、良い構図はどこにでもあるはずで、それを見つけられるかどうかは自分の目にかかっているのだとも思った。イメージを持つことも大事だけれど、入江氏のように奈良に暮らしているわけでもなく、あっと思ってすぐに駆けつけるわけにもいかないからこそ、その場その場の天気や空気、そして風景を撮らせてもらう、と思った方がいいのだな、と思うようになった。

切り取り方。これは本当に難しい。今度奈良に行くときはがんばって200㎜を持って行こうかどうしようか悩んでいる。200㎜という望遠レンズは切り取り方が本当に難しい。広角レンズだと割合と簡単に、それなりの写真が撮れるのだが、望遠レンズの場合は切り取り方を考えないとまったく良い写真が撮れない。だからこそ勉強にもなるのだが。今度訪れようと思っているお寺はすべて一度は行ったことのあるお寺ばかりなので、200㎜で冒険するのも悪くないかもしれない。

室生寺、長谷寺、唐招提寺、薬師寺、東大寺、興福寺、法隆寺。どう切り取るのか。どのようなまなざしを向けるのか。挑戦してこようか。

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