2015年7月19日日曜日

蓮の花 ~薬師寺・唐招提寺~

約1ヶ月振りの奈良です。この日をどれほど待ち望んでいたことか・・・、と言いたいところですが、仕事があまりにも忙しくて、ハッと気付けば今日になっていました。本当はもう少し、まだかなぁまだかなぁ、と待ちわびる心境になっていたかったのですが、あっという間にこの日になっていました。

特に今回はここに行きたい、と強く思っていた場所がなかったのですが、この季節はやはり蓮の花でしょう。また、18日から奈良国立博物館で、白鳳美術の特別展示が始まっているので、これも外せません。

朝早く起きて、始発の新幹線に乗り、9時過ぎには西ノ京の駅に降り立ちました。前日まで雨だったのですが、今日は雲が多いものの雨は降らず、気温がぐんぐん上がっていきます。西ノ京から薬師寺の南側に回り、正面から入ったのですが、その時点ですでに汗だくになっていました。

薬師寺にはもう何度も足を運んでいますが、まだ一度も東塔を見たことがありません。平成30年まで解体修復中だからです。薬師寺を訪れる度に、覆っているシートから塔の姿がちらりとでも見られないか見てしまうのですが、もちろんまったく中を窺い知ることはできません。完成後ばかり当分多くの参拝客でごった返すでしょうが、早く見てみたいものです。

蓮です。今年から食堂も建設されるということで、昨年蓮の鉢が置いてあった場所が移動されていました。でも、今年の方がいい感じです。なぜなら金堂や講堂をバックに蓮の花を撮ることができるからです。蓮の花だけでももちろん素敵ですが、やはり薬師寺の蓮、という構図も欲しいのです。

さすがに夏休みに入っているだけあって、いつもより多くの人たちが訪れているようでした。蓮の花もみなさん盛んに写真を撮っています。もちろん、スマホが多いですが、最近はスマホか本格的な一眼レフかどちらかになってきたようです。コンパクトデジカメとスマホのカメラ機能との差異がほとんどなくなってしまったのでしょう。
講堂と蓮の花

蓮の花はそれほど多くは咲いていませんでしたが、咲いているものはとてもきれいです。ピンクと白が主流ですが、私は蓮の花らしいピンクが好きです。ただ、蓮の花が私の希望する場所で希望するような咲き方をするわけがなく、金堂をバックに撮ろうとすると注意書きの看板が邪魔になったり、講堂をバックに撮ろうとすると終わりかけの花しかなかったりと、なかなか難しいものがあります。もちろん、蓮の花を愛でるだけでも十分な価値はあるのですが。

二日目の薬師寺
青空と金堂と蓮の花
薬師寺の仏像たちですが、現在、月光菩薩と聖観音菩薩が、奈良国立博物館に出張中です。白鳳美術の特別展示をやっていて、その代表格として出張しているそうです。後ほど訪れる予定なので楽しみです。

薬師如来、日光菩薩は相変わらずの美しさでした。

次に唐招提寺です。ここもいつもより多くの参拝客がいましたが、それよりも暑さに参りました。リュックを背負っている背中はすでに汗でびっしょりです。日差しというより湿度が高くて参ります。

唐招提寺の蓮は、なんといっても戒壇堂前の蓮池の蓮が一番見応えがあります。水面が見えなくなるほどに蓮が伸び、大きな蓮の葉で池全体を覆っています。そして、蓮の花もすらりと長い茎の上に大きな花を咲かせています。これこそが蓮、という鮮やかなピンク色の蓮が見事です。


実は二日目も唐招提寺と薬師寺を訪れてしまいました。最初、行くつもりはなかったのです。ですが、あとで書く予定の入江泰吉旧家を訪れ、彼の写真を見たり彼の話を聞いて行く中で、「待つ」という姿勢がとても重要なのだと考えさせられ、もう一度行こう、と思ってしまったのです。8時半に唐招提寺も薬師寺も開門するとのことで、まずは唐招提寺に向かいました。

開門数分前に到着したのですが、すでに10人ほどの人々が並んでいました。誰もまだ歩いていない境内を門から眺めるのもまた良いものだと思いました。この日は朝から晴天で気温もぐんぐん上がっています。そのような中、下の写真のような参道を眺めると、気持ちが落ち着きます。

朝一のため、まだ誰もいない唐招提寺の境内

蓮の花はやはり良い感じでした。昨日とはまた異なる表情を見せてくれていて、来た甲斐があったなと思います。しかし、この日は蚊も多くいたようで、カメラを構えている間に何か所も刺されてしまいました。汗だくでしたので、蚊にしても美味しそうな匂いがぷんぷんしていたのでしょう。

そして薬師寺です。ここでは、この日から夏の特別展示ということで、土の中にあったもの、というテーマで小さな展示が行われていました。現在修復中の東塔がたっている場所の地層だったり、発掘調査で見つかったものなど、それほど多くはありませんでしたが、なかなか興味深かったです。重要文化財もあり撮影は禁止されていましたが、以前から展示されている台湾からの檜や昔の薬師寺を空撮したものは撮影してもいいですよ、と言っていただいたので、しっかり撮ってきました。

台湾檜

空撮写真は驚きでした。今ではとてもきれいに整備されている薬師寺ですが、このときは周りを田んぼに囲まれ、東塔と昔の金堂らしき建物が見えるだけです。今では立派な伽藍ですが、この空撮時の状況からよくここまで再建できたものだと感心してしまいます。たくさんの人々の想いがこもった再建だったのだろうと感慨深いものがありました。

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