2015年7月22日水曜日

入江泰吉旧家

今回、東大寺近くにある入江泰吉の旧居が一般公開されたというニュースを聞いて、訪ねてきました。

旧居入り口
東大寺の戒壇院からまっすぐ伸びる道を歩いていくと、数分で到着します。入江氏は東大寺の境内が自分の庭のようによく写真を撮っていた、というようなことを聞いていましたが、まさに東大寺は入江氏の家の目と鼻の先にあります。

こじんまりとした家ですが、とても雰囲気の良い住まいで、入江氏の品の良さというか性格が伝わってくるような気がします。中に入ると、係りの方がいて丁寧に説明をしてくれました。一つ一つの部屋はそれほど大きくありませんが、客間、茶室、寝室、書斎などがあり、それぞれとてもシンプルですが、落ち着く空間になっていました。特に書斎の壁一面に並べられた書籍の数々は、入江氏がどのような本を読んでいたのかがわかるもので、なかなか興味深かったです。やはり奈良や大和に関するもの、歴史書などが多くあったように思います。

書斎の一角
書斎の本棚
奈良が好きになって初めて知った入江氏ですが、写真を見たときからすぐに気に入ってしまいました。写真を見る目があるとは言えませんが、好きな写真というのはわかります。特に入江氏の写真は眼差しが優しく感じるのです。仏像にしても大和の風景にしても、人々の暮らしを切り取るにしても、入江氏は本当に優しい。写真はある意味無機質なものですが、その中で感じられる優しさや暖かさが不思議です。
庭を見ながらコーヒーを飲むのが好きだったとか
廊下

そんなこともあり、入江氏の旧居に置いてあった入江氏の写真集をその場でスマホを取り出し、アマゾン経由で注文してしまいました。一冊はすでに絶版と書かれていたのですが、しっかりゲットしました。私が仏像の写真を撮る機会は一生ないでしょうが、奈良の風景は彼から少しでも学べればと思っています。きっと彼の被写体に対する思いが大事なのでしょう。同じ構図で撮ろうとしても、同じ場面などありません。植物は成長し、天気は同じには二度とならず、空気も変わります。その中で入江氏のような思いを込めて、待つ、という思いを持って撮っていきたいと、改めて思わされた入江氏旧居の訪問てした。

暗室

晩年はもっぱらお弟子さんたちが利用していたそうです


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